2017年1月6日金曜日

ドロドロの日々を泥湯で流す


冬の温泉ほどニッポン人に生まれて良かったと実感するものはない。

ということで年末に別府を訪ねてきた。3歳ぐらいの頃に行ったことがあるのだが、当然覚えているはずもなく事実上初訪問である。


大人になって温泉の質にちょっとこだわるようになった。全国各地の有名温泉地に出かけてきたが、“別府未体験”ではさすがに温泉を語ってはいけないような気がする。

割と直前まで宿の空室情報をチェックした。ネット上で調べると日々刻々と満室になったり空きが出たりするから結構ギリギリまで決められずにいた。

せっかくだから露天風呂付きの部屋を狙う。年末の繁忙期でも急に空きが出ることもある。出発3日前まで粘って1泊目は由布院、2泊目に別府の宿を予約した。

由布院と別府はクルマで40分程度の距離だから移動の合間には温泉地ならではの特徴的な日帰り入浴施設をハシゴして過ごそうと企む。

大分空港からレンタカーで由布院へ。マツダの何とかという車が快適で鼻歌歌っていたら到着。宿に向かうには早い時間だったので青い色の温泉がウリの日帰り入浴施設に向かう。

残念ながら休業日。しょうがないからネットで調べて近くの「青湯」が自慢という別な施設に行く。名前に反して無色透明の温泉だった。まあ仕方がない。


その後、宿泊する宿に向かう。全室離れ形式の「緑涌」という宿だ。部屋の外に風情のある巨石に囲われた露天風呂が付いている。

まだ新しいようで敷地全体がフレッシュな感じ。働いている人達も若い人ばかりで鄙びた雰囲気に惹かれる人には少し落ち着かない感じだろうか。



和モダンの客室、風呂ともに居心地が良かった。冷蔵庫に入っている飲み物も無料だったから必死に?飲んだ。

部屋付き露天風呂の魅力は温泉に浸かりながらビールを飲んだり、タバコを吸ったり、週刊誌のエログラビアを堂々と眺められる点である。

ノボせそうになったら一糸まとわぬ姿でピコ太郎の振り付けを反復練習できるし、夕飯の後ならホロ酔い気分で葉巻をふかしたってOKである。


食事も関サバや豊後牛など大分モノがアレコレ出てきて、酒がクイクイすすんだ。

次の日、とっとと別府に向かう。今回の旅の最大の目的地が「泥湯」である。テレビでもお馴染みのブキミな?温泉である。泥である。にごり湯の究極の到達点だろう。

別府温泉保養ランドというその名も昭和感ムンムンのシュールな温泉施設に例の泥湯はある。

オシャレとかモダンとか風情や情緒だとか、そんな余計な形容詞を一切排除したような質実剛健の建物をズンズンすすんでいくと大浴場に到着。

まずはコロイド湯という乳白色の温泉がお出迎え。これが何とも優しい湯。いつまでも入っていたくなるような包み込まれる感じだった。

身体が暖まったらズンズン奥に進んでいよいよ泥湯である。まさにドロドロだった。
温泉好きならやはり一度は体験すべき独特の温泉だ。


なんとも表現しにくい。確かに気持ちよいし、温泉気分100%だし、泥パックのように体中に塗りたくったりしたが、悪く言えば何だか気持ち悪い。

底に溜まったヌルっとした泥をかき集めると木の枝や小石やゴミ?も混ざっている。野趣満点だが、野性的じゃない人だったらたじろぐレベルだ。

神経質な人にはオススメできないが、オジサマにとっては憩いの湯である。何度も出たり入ったりを繰り返した(画像は「iナビおおいた」から拝借しました)。

その後、ブルーの湯を求めて別な施設に行ったが、残念ながら休業日。しかたなく2泊目の宿に向かう。

この日は山水館という大型旅館。年末の繁忙期だし、大型旅館だから鬼混み状態かと思っていたのだが、騒がしいことはなかった。大浴場も人の少ない時間に入れたのでラッキーだった。



露天風呂付きの部屋が比較的リーズナブルに手配できたのが良かった。部屋もモダンに改装されて日が浅いようで実に快適。テラスに設置された風呂も充分なサイズで遠く海を見ながらワガママ入浴が出来た。

食事は「まあまあ水準」だったが、個室で食べさせてくれたし、量もあったし問題ナシ。

湯布院でも別府でも宿の夕飯の際、マグロの刺身が出てこなかったことが高ポイントだ。

マグロが嫌いなわけではないが、日本中どこに行ってもマグロさえ出しておけばいいという発想は旅館料理のダメな点だ。

地魚だけでウマい刺身はいくらでも提供できるはずだ。「どこもかしこもマグロとイカ」という悪しき紅白習慣?に背を向ける旅館がもっと増えて欲しいと思う。

温泉ネタのつもりがボヤキになってしまった。

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