2016年5月6日金曜日

ウナギ雑感 大江戸 いづもや


「冷酒のつまみコンテスト」で21年連続1の座に君臨するのがウナギの白焼きである。

私の頭の中だけで展開されるコンテストなのだが、四半世紀にわたってトップの座を守り続けている。



わさび醬油をチロッとまとった白焼きを味わい、飲み込んだと同時に冷酒をキュッとあおる。ウナギの風味と脂が冷酒に包まれて五臓六腑に染み渡っていく。

グヘヘヘって感じである。

白焼きに限らず、私はウナギが大大大好物である。仕事の付き合いの席でこちらが店を指定できる際にはウナギ。おひとりさまディナーもウナギ、オネエサマ方と食事をするのもウナギというパターンが結構多い。

冒頭の画像は日本橋にある老舗「大江戸」の白焼き。下にお湯を張ってウナギが冷めないように工夫された器で出される。

もう何年も前になるが、初めて食べに行った際に「白焼き命」の私が一気にこの店のファンになったのもこの気配りのせいかもしれない。

白焼きがウマい店は間違いなく蒲焼きもウマい。「大江戸」に行くと頼んでしまうのが「極上鰻重」である。3年ぐらい前に値上げしてバカ高くなってしまったのだが、たまにしか行かないから奮発したくなる。



ご飯が見えないのが何とも贅沢である。絶滅の危機に瀕しているウナギをこんなに食べちゃうことに後ろめたさを感じるが、私にとっては人生の喜びそのものなのでガツガツ食べてしまう。


白焼きを肴に飲んだ後に蒲焼きもツマミにして飲みたい。だから始めのうちは冷めないように蓋を開け閉めしつつ、ご飯には手をつけずにウナギだけつまんで冷酒をグビグビする。

宝箱をコソコソあさっている気分になってワクワクする。

ツマミとして堪能した後でも充分すぎるほどウナギは残っている。シメの鰻重として存分に堪能できるわけだ。

東京にはウマい鰻屋さんがたくさんある。私も自分の行動範囲ではアチコチ食べに行ったが、最近はこの「大江戸」ともう一軒、日本橋の別の店ぐらいしか行かなくなった。

開拓精神が乏しくなったこともあるが、「いつもの安定感」に惹かれるようになった。今更知らない店に行ってガッカリするのはゴメンだ。

最近も某下町の某老舗の鰻屋さんに行ってみたが、味付けが甘ったるいだけで私には合わなかった。日本橋に足を伸ばさなかったことを後悔した。

さてさて、日本橋のもう一軒の鰻屋さんの話だ。「いづもや」という店。ここでは白焼きの応用編ともいえる魚醤焼きが味わえる。ウナギで酒を飲みたい時にはもってこいである。




この店が独自に開発した「いづも焼き」がそれ。以前、このブログでも書いたことがあるが、ウナギで作った魚醤で付け焼きする。

ハーフサイズで注文できるのも有難い。私の場合、ここでは白焼きといづも焼きをそれぞれハーフで注文して冷酒をカピカピ飲んでいる。

他にも気の利いたツマミが揃っているので、いつも最後の鰻重がフードファイト状態になりそうになる。

さて、白焼き、蒲焼き以外にも鰻屋さんには嬉しいメニューが揃っている。オジサマにとっての宝物である肝焼き、卵焼きでウナギを包んだ「う巻き」、酢の物としてサッパリ味わう「うざく」などなど。





こんなラインナップで冷酒を楽しんでいるのが何より幸せである。だいたい鰻屋さんでノンビリしている時は、店に入った時からずっとアノ香わしい鰻の蒲焼きの匂いにさらされているわけだ。凄いことである。

それにしてもニュルニュルニョロニョロで見た目も不気味なウナギを美味しく料理するようになった先人の知恵と技術に心から感謝したくなる。

忘れてはいけないのが「ウナギのタレ」だろう。あれが嫌いな人は世の中に存在しないんじゃないかと思えるほど日本料理界の傑作だろう。


わが家の冷蔵庫には常にウナギのタレが買い置きしてある。豚肉や鶏肉をフライパンで炒める際に、ウナギのタレで味付けすると簡単に一品が出来上がる。

いつも目分量で適当に炒めるのだが、塩コショウでの下味も要らないぐらいだ。簡単かつ便利なのでモノグサな人にはオススメである。

子供の頃、山盛りのドンブリ飯にウナギのタレだけをかけてウホウホ食べることがあった。肝心のウナギが無くても気にせずタレだけで満足していた。

今もその頃の質実剛健?な嗜好が維持できていれば安上がりなのだが、さすがにそれは無理である。いつもウナギをドッサリ食べたくなる。ウナギ煩悩の塊である。

書いているだけでまた食べたくなってしまった。




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