2016年1月13日水曜日

巣鴨の角煮


幸か不幸か、中高年生活も円熟期?に入ってきたせいで、朝、起きてから空腹を感じるまでの時間が若い頃とは変わってきた。

昔は起きてから5分もすれば『腹減った』だった。時には空腹で目を覚ますことさえあった。

ここ1~2年、起きてから30分ぐらい空腹を感じないことが珍しくない。私にとっては大いなる変化である。変化というより劣化だろう。

そうなると起きて早々に寝間着のままガッつくような食事をしないで済む。適度に身支度を整えれば外食でブランチをドカ食いすることが可能になったわけだ。

どうでもいい話だが、私にとっては画期的なことである。

一人暮らしをしていると、味噌汁の匂いとまな板のトントントンという音で目覚める生活は望めない。モーニング珈琲をいれてくれる人もいない。

それを侘びしいとか淋しいと感じる人は修行が足りない。シングルオジサマライフはモーニング味噌汁の変わりに好き勝手が出来るというメリットがある。

「好き勝手に外食」。この特権?を大いに楽しまないと面白くない。休日のブランチなどにはもってこいだ。

近所の「吉野家」でもいいし、「ゆで太郎」でもいい。でも手軽過ぎると逆に切ない気分になりそうなリスク?もある。やはり、わざわざ食べに行くという「わざわざ感」は大切である。



ホテルのカフェレストランでピラフを大盛りで注文したり、エビフライやハヤシライスを目当てに洋食屋さんを攻めたりするのが正しい行動である。

週末の午前中なら首都高はガラガラだ。自宅近くの「護国寺入口」からクルマを飛ばせば銀座、六本木、浅草あたりでも10分、15分程度で着いちゃう。混雑さえなければ、都会は便利な程度に狭い。

先日、オバアチャンの原宿との異名を持つ「巣鴨」を散策してきた。自宅からタクシーで1000円もしない距離なのだが、オバアチャンをナンパする趣味はないのであまり縁がない街である。

休日の朝、といっても昼に近い時間帯だが、起きてからほどなく巣鴨に到着。オバアチャンだらけだが、結構若い人もウロウロしていた。


塩大福に惹かれたが、私の楽しみはブランチである。どこで何を食べようか考えてウロウロするのが楽しい。

混雑を避けるために目抜き通りの店より裏路地にある渋い感じの店を探す。ウマそうな蕎麦屋を見つけたが、空腹マックスだったのでパス。もっとドカ食いっぽい路線を求めてさまよう。

で、怪しげな台湾料理屋を発見。その名も「台湾」。魅力的なほど小汚い。いい感じだ。デブタレントの英雄「石ちゃん」が食べに来た昔の写真が自慢げに貼ってある。

店先の写真やゴタクを見ていたら大きな豚の角煮が名物らしい。バッチリだ。シュールな街・巣鴨での休日のブランチに最適な店だと確信して突撃する。

「ナニ飲む?紹興酒飲むか?」。席に座った私に対する店のおばちゃんの第一声である。なんとも雑である。実にステキだ。シビれる。

さすがに空っぽの胃袋に紹興酒を流し込むのは気がひけたのでビールをもらう。


ほどなくドカンとした角煮がやってきた。興奮する。

想像していただきたい。遅く起きた休日、昼近く、腹ペコになって気分良くビールをひっかけているときにこんな角煮が登場したらどれだけ幸福感に包まれるか。

バンザイ、ワッショイ、ウッシッシである。

見た目よりクドくなくて素直にウマい。もちろん、これだけで済むはずもない。台湾の屋台料理である魯肉飯(ルーローハン)も店の自慢らしいので、ご飯代わりに注文。


ハッカクの効いたぶつ切り肉がたっぷりだ。付け合わせの煮卵は鉄卵という名の自慢の一品らしい。硬くなるまで煮しめた卵だとか。こちらも普通に美味しかった。

店のおばちゃんも親切だったし、こういう行き当たりばったりは実に楽しい。

ちなみに隣の席のオヤジは名物の角煮をドカンと乗っけたラーメンを食べていた。間違いなく物凄くウマいはずだ。

その後、腹ごなしに漬け物屋を覗いたり、ラクチンな部屋着を買ったり、すっかりオバアチャンみたいな過ごし方をする。

なんだかホッコリする時間だった。

一人暮らしの利点はいろいろある。家の中で裸族で過ごせるし、エロ動画も見放題である。オナラもゲップも遠慮する相手がいないから豪快にぶっ放せる。

しかし、そんな内向的なことより、好きな時に好きな場所に気ままに出かけられることのほうがメリットとして大きいのかもしれない。

デブ症は仕方ないが、出不精にならないように気をつけようと思う。

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