2016年1月8日金曜日

泣ける?焼鳥


10年以上前、まともに家庭人をやっていた頃、都内某所に家を新築した。ウキウキ気分で近隣を散策しながら気軽に飲める店を探した。

ほどなく居心地が良くてウマい焼鳥屋「T」を見つける。独創的な一品料理も魅力で、仕事帰りに週に一度ぐらい顔を出すようになった。

休みの日にもちょこちょこ出かけた。まだ幼かった子どもを連れてまで通った。子どもには特製親子丼を食べさせ、お父ちゃんはグビグビ焼酎をあおっていた。

その後、「T」の大将とも親しくなり、あれこれ相談を受けたり、愚痴を聞いてもらったり。職場の宴会を豪勢にやったこともある。

いつも焼酎片手に鶏のレバ刺しで酔っ払っていた。マヨ風味が堪らない特製コロッケも毎度のように食べていた。

お土産でもらった極上生卵を無造作にレジ袋に突っ込んで歩いて帰ったら、酔ってたせいで全部割れちゃっていたことも何度かある。

そのうち、恥ずかしながら“家庭経営”がうまくいかなくなり、家の近所で飲む機会が減り始める。3・11の震災も影響して「T」に行っても大将との会話が徐々に重苦しくなっていった。

その後、別なエリアで一人暮しを始めたので、自宅の近所で飲む機会が無くなる。仕方なく移転先周辺で気軽に通える焼鳥屋を探すがどこもピンとこなかった。

そして、正式に家庭から離脱することになって家を明け渡したから、その街で飲む機会は完全に消滅してしまった。

名物料理「レバ炙りポン酢」が食べたくて、何度か「T」に行きかけたが、やはり、その街にはなかなか足が向かなかった。「T」の大将に事情を話すのもメンドーだったから行かずじまいになる。

それから4年近くが過ぎた。

鶏のレバ刺しを常備している店はいくつか開拓した。でも、やはり生レバに対する「T」のアレンジは最高だと思っていたので、どこで食べても思い出すのは「T」のことばかり。

そして去年の秋も深まった頃、ひょんなことから「T」が移転するという情報を入手。さっそくネットで詳細情報を調べてみた。

すぐにFacebookページを発見。住所も細かく出ていたので、近いうちに再訪することを一人勝手に誓った。

そして年も押し迫ったクリスマスの頃、おそるおそる出かけてみた。ありえないぐらい不便な場所に移転していた。最寄り駅は無いといったほうがいい。住宅街にポツンとあった。

開店まもない時間に暖簾をくぐる。仕込み中の大将と目が合う。お互い10秒ほど目を真ん丸にして見つめ合う。

「オ~っ」とか「ドゥわ~っ」とか「ホゲ~」などと言いながら再会を大袈裟に喜び合う。なんだか少しジンときた。

「サンタクロースかと思ったよ~」。「T」の大将の風貌は正直に言って「海坊主系」?なのだが、そんな彼がセンチなことを言ってくれた。

私も何だか嬉しい。やたらと愉快な気分になる。疎遠になっていた4年近くの間にお互い50歳という節目を超えていた。オーダーも忘れてしばしベラベラお互いに近況報告をして盛り上がる。

私専用の焼酎キープ用の瓶も処分されずに残っていた。新たに焼酎を注入して再利用スタートである。その日のうちにだいぶ減ってしまったが、陽気な気分でグビグビしちゃったんだから仕方がない。




レバ刺し、レバ炙りポン酢、特製コロッケである。移転しても以前と同じメニューだった。相変わらずウマい。

ベタ誉めしているが、あくまで街場の焼鳥屋さんである。移転早々だから店は綺麗だが、ちっともオシャレではないし、グルメ評論家っぽい人がやってくる風情ではない。

ただし、街場の焼鳥屋さんとしては抜群にウマい。レバ炙りポン酢や特製コロッケはどんな高級焼鳥店に行っても味わえない珠玉の一品だと思う。

普通の串モノにしても1本100円台の焼鳥としてはトップレベルだろう。1本600円~700円も取るような都心の高級焼鳥屋にも行く機会はあるが、「T」で鶏づくしを堪能すると都心の高級焼鳥店はあくまで雰囲気を楽しむ場所だと痛感する。

まあ、私にとってウマいマズいという話はさほど重要ではない。自分にとって色々あったこの10年と絡み合っていた場所のような気がして、そんな店と改めてつながり直せたことが感慨深いわけだ。

男にとって「止まり木」みたいな場所があるのは嬉しいことだ。「T」との“復縁”は中年男の繊細な?心にグサッと刺さった。琴線がかき鳴らされた感じである。

なんだか、店の実名も出さないまま、富豪っぽく?もなく、ちっとも参考にもならない話を書き散らかしてしまった。スイマセン! 

でも何となく書いたことでスッキリした。

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