2015年11月18日水曜日

銀座 鳥繁本店


肉の中でも鶏肉が一番好きなのに最近はなぜか焼鳥屋に行っていない。寿司、ウナギ以外には「モツ焼にホッピー」が定番?になっちゃったせいだろうか。

で、今まで10年以上、横を通り過ぎるだけで入ったことのなかった焼鳥屋に行ってみた。


銀座にある鳥繁本店。なぜかドライカレーが有名な老舗焼鳥屋だ。モダンにカッチョよく焼鳥を食べさせるイマドキの高級焼鳥屋とは一線を画したオジサマ達にとって居心地の良い店だ。

大衆的な価格の店ではない。でも、レトロっぽいというか、下町の雰囲気もあるような大人の男にとってシックリくる店だと思う。

ソムリエまで出てきちゃうようなオシャレすぎる焼鳥屋は落ち着かない、かといって煙モーモーでぎゅうぎゅう詰めの焼鳥屋もイヤだという場合、鳥繁はもってこいだろう。

接客も丁寧だし、喧騒も適度で肝心の焼鳥も普通に美味しい。値段には疑問を感じる人も多いだろうが、こればっかりは、いわば「銀座流」である。

おでんだって客単価1万円ぐらい取る店が珍しくない夜の銀座では、赤ちょうちん的な路線とは異なる焼鳥屋がゴロゴロしている。鳥繁はそうした系統の元祖みたいなものだろうか。

1本あたり500円ぐらいする。もっと高値の串もある。そうはいっても、1本あたりがかなり大きいので、小食の人なら5本ぐらいで充分、そうでなくても7~8本も食べれば満腹になる。

幸か不幸か、焼鳥以外のツマミがさほど用意されていないので、必然的に焼鳥を食べて、名物のドライカレ-で締めるパターンが基本である。

お酒もしっかり飲めば一人あたり7千円程度にはなる。値段だけみれば、晩酌ついでに焼鳥7~8本を楽しむコストとしては高い。

そうはいっても、食べ応えのある鶏肉で満腹になり、名物の銀のヤカンから職人芸のように注がれる燗酒で酔っ払うと、独特の満足感を味わえる。

銀座のお燗酒といえば、こだわりのヤカンでまろやかな味わいを演出する「やす幸」、「おぐ羅」あたりのおでん屋さんが有名だが、この店は「ヤカン+空中から注ぐ」パフォーマンスで酔客を楽しませてくれる。


鴨の串にこだわりがあるようで、鴨ロース焼きは肉厚で食感も良くジューシーで味わい深い一品。でも1本1400円もする。この日は初訪問だったし、このブログのネタ探しという側面がなかったら注文しなかったと思う。


こちらは鶉(ウズラ)。これまた店の自慢の一品らしい。通常の鶏とは違う食感で味もとても濃厚だった。でも、これも1串1500円である。

「富豪」と称するブログを書いている以上、注文しないわけにはいかない。そんな意味不明?な使命感がなかったら注文しなかったと思う。

そのほか、つくねやねぎ間、せせりなど一般的な焼鳥は普通に美味しく、真っ当で真面目な仕事ぶりを感じさせる。

デートに使うようなオシャレな感じはない、難しい相手を接待するような気張った感じもない、かといって、一人でどんよりタメ息つきながら演歌を聴いてイジケる感じもない。

うまく言えないのだが「ちょうど良い感じの店」だと思う。気心の知れた男の友人と差し向かいで飲むのも良い、3~4人で卓を囲んでも良い。キャピキャピしていない女性を連れてカウンターでしっぽりもアリだ。

ちなみに冒頭に画像を載せた名物のドライカレーは好みが分かれそうな一品だった。

あまり具が入っておらず、ご飯は硬めである。私にとっては最高である。グリーンピースなどロクデナシみたいな野菜が得意気に入っていたら興醒めだが、そういうふしだらな連中は見当たらない。

それより何よりベチャっとしていないことが素晴らしい。ボソボソ、ボリボリ、ポソポソ・・・。なんだかそんな書き方をするとマズそうだが、私にとってはそんな食感こそラブリー?である。

味付けも少し薄いぐらいで、それまで美味しく食べていた焼鳥の余韻をブチ壊すようなこともない。

大袈裟かもしれないが、正しい大人のためのジャンクフードである。軽い感じのせいで、飲んだ後にガッツリ食いをしてしまう罪悪感に襲われることもない。

酔っ払って食べるチャーシュー味噌ラーメンや牛丼特盛りはファンタスティックな味がするが、翌日の夕方ぐらいまで調子が悪くなる。その点、鳥繁のドライカレーなら安心だ。

「持ち帰り用・3人前」という禁断?のメニューがあることも知ってしまった。

そう遠くないうちにテイクアウトしたドライカレーをバーかクラブに持ち込んで葉巻をくゆらせながら、デザート?としてウホウホ食べている自分の姿が脳裏に浮かんでいる。

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