2015年5月27日水曜日

外国人旅行者と夜景


昔から旅行が好きでいろいろな場所に出かけてきた。旅の楽しみをあげればキリがない。ひょっとすると無事に帰宅した時の安堵感が一番の楽しみかもしれない。

なんだか元も子もない言い方になってしまうが、1泊の温泉旅でも長期の遠距離旅行でも、帰路につく時は後ろ髪を引かれる思いなのに家に辿り着いた時のホッとした感覚は独特だ。

自分の居場所の快適さを再認識する感じだ。

姪っ子が海外留学中なのだが、彼女も帰国した時には自宅はもちろん、自分の国の居心地の良さを強烈に感じると思う。

海外旅行の場合、ほんの数日の異国体験ですら自国の良さを再認識する機会になる。

「日本的なこと」は世界から見れば珍しいことだらけだ。治安の良さ、街の清潔さ、交通機関の正確さ、サービスの質、効率性など数え上げればキリがない。

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が急増している。昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者は1300万人を突破、一昨年に初めて1千万人を越えてからハイペースで増加中だ。

政府が目標に掲げる2020年に2千万人、2030年に3千万人という目標も充分実現可能性がある数字だと思う。

寿司に天ぷら、富士山に京都といったステレオタイプなイメージもすっかり変化し、今ではファッションやライフスタイル、先進的な都市機能の体験が目的の旅行者も多い。

いわば、日本にとっての日常的な世界が外国人旅行者の目には大いに刺激的に映るらしい。

地方の活性化対策が様々な角度から議論されているが、トンチンカンなバラマキ政策より観光促進に力を入れたほうがマシだと思えてくる。

うまくいけば対処療法的ではない永続的な効果が期待できる。外国人観光客のニーズは多様化している。日本人自身が気付いていない日本の魅力は無数にあるだろうから、どんどんアピールすべきだろう。

ちょっと話が変わる。

日本人が普段さほど意識していない部分で外国人旅行者が惹かれるものの一つに東京の夜景がある。

東京人にとっては夜景といえば、函館や長崎を思い起こすが、外国人旅行者の一部からは東京の夜景が世界一だという声もあるらしい。

確かに東京ほど煌々とした光りに満ちあふれた都市は世界でも希だ。ヨーロッパの都市を歩いても夜はボンヤリとした灯りが灯っているイメージだ。

外国人旅行者に喜ばれるのは有難いが、ある意味、東京の光りの洪水は世界的に見れば異常なのかもしれない。

エネルギー問題は日本人が直面する大きな課題である。3.11の震災後、東京は節電で灯りを落とした。

誰もが騒然としている中での出来事だったので、普段より暗くなった街を見て感慨にふける人も少なかった。そのせいもあってか、たった4年で「暗い東京」の姿は風化した。

思い返してみても暗くなった東京で特別な不都合は感じなかった。更にいえば、その昔のバブル以前の東京の街は今ほど明るくなかった記憶もある。

夜景人気に水を差すような話だが、明るすぎる東京の姿に少し違和感を覚えてしまう。

ネオン街の魅力を享受している私が書いたところで説得力はないが・・・。

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