2015年5月1日金曜日

いづもや がまの穂焼き


エンゲル係数が暴騰中である。夕食は大半が外食だし、食べたいモノしか食べない悪いクセがあるし、最近は「ゆで太郎」にも飽きてしまった。大変である。

愛しのウナギも昔より高くなってしまった。でも食べる。しょっちゅう食べたくなる。ヤバいクスリだったら数グラムでウン万円するらしいから、それに比べればウナギはお手頃である。

そんなバカげた自己弁護を繰り返し、しょっちゅうウナギをドカ食いしている。

今日は「がまの穂焼き」という珍しいウナギ料理に感激した話だ。

場所は日本橋の新常盤橋近くにある「いづもや」。三越前駅から少し歩いたオフィスビル街の中に本館と別館を構えている。


まずはウナギで作った魚醤を塗って焼き上げる「いづも焼き」である。冷酒に合わせると最高だ。白焼きに負けるとも劣らない極上の一品だと思う。

先日出かけた際は、有難いことに手の込んだツマミをサービスしてもらった。ホタルイカの刺身を肝醤油で味わう一皿。酒が進んじゃって大変だった。


実は3月初めにこのブログで紹介したのをお店の人が読んでくれたそうで、そのおかげで裏メニューにありついてしまったわけである。

このブログは一応匿名で書いているが、初めて行った際に若いご主人と名刺交換していたので、私が書いていることがバレバレだったみたいだ。結果オーライである。

さてさて「がまの穂焼き」である。蒲の穂といえば、水草にソーセージのような形状でくっついている綿毛状の部分だ。「かまぼこ」の語源だという説もあるらしい。


「いづもや」の「がまの穂焼き」は、その形状から名付けられたもの。前日までの予約が必要なので、フラっと訪ねても食べられないところがニクい。

ウナギ好きを広言しまくっている以上、未体験のままではダメである。そんな思いで、とある日、事前に予約をして「がまの穂焼き」を堪能してみた。

以前、店のご主人から「ウナギが魚であることをしみじみ感じられます」と特徴を説明されたのだが、ちっとも想像できなかった。

で、初体験の日、がまの穂のような異色のウナギが大ぶりな串に刺さって登場した。


ジロジロ眺めてみる。まだ味の想像がつかない。カブリついてみた。確かに「魚」である。脂の乗りきった白身魚の雰囲気を漂わせているのだが、味わえば紛れもなくウナギである。

食べ方のせいもあって、いろりで焼いた鮎やイワナの塩焼きみたいな食感にも思える瞬間がある。でも風味は純然たるウナギだ。

鮎やイワナ同様、中心部分には骨がある。骨の周りの身を吸い付くように食べるのも楽しい。基本的には塩焼きだから白焼きに似ているのだが、白焼きより数段、脂の乗りを強く感じる。

見た目はサッパリとした魚の串焼きに見えて、食べてみるとジューシーでボリューミー?な不思議な一品だ。

お店の人いわく、蒲焼きが発明される前の大昔の食べ方だとか。本来は非常にシンプルな食べ方らしいが、こちらの店では、旨味を引き出すために行程に工夫しているらしい。確かに単純に丸のまま塩焼きにしても、あの食感や風味は出ないと思う。

年配の人には脂の乗りが強すぎるかもしれないが、その分、味わいは官能的だ。どことなく大昔のロマンを感じるし、なかなか経験できないからウナギ好きの私としては大満足だった。


ウナギ以外にツマミを置いていないぶっきらぼうな鰻屋が苦手な私にとって「いづもや」の路線は実に有難い。

冷酒の品揃えも豊富だし、一合で頼んでも片口になみなみ投入されてやってくる。一合と言っても飲食店の場合は「インチキ一合」が普通だから、この店の気っぷの良さは有難い。

日本橋のウナギ屋さんといえば、ツマミも豊富でバカでかいウナギを堪能できる老舗「大江戸」も魅力的だ。あの店の「鰻重極上」も捨てがたいが、最近は「いづもや」の路線にハマってしまった。

サービス品を提供してもらったからオベンチャラを書いているわけではない。「冷酒とウナギ」という組み合わせをこよなく愛する私にとっては聖地みたいなものである。

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