2014年12月17日水曜日

蕎麦をドカ食い

世が世なら孫がいてもおかしくないオッサンなのに相変わらずドカ食いの誘惑に襲われる。

基本的に昼飯を食べないようになって随分経つが、主な理由は夜の酒を美味しく飲むためである。しっかりランチを堪能すると夜の酒がイマイチだ。

ただ、時には酒を抜く日もある。そういう時にドカ食いの誘惑がやってくる。

ご飯大盛りで定食を食べるぐらいなら問題ないのだが、私の場合、ドカ食いの定義は2~3品をぶりぶり食べることにある。

これが厄介である。

まず、外食だと「人様の目」が気になる。とくに一人メシの時が困る。店に入って生姜焼き定食とナポリタンなどと注文するとギョっとした顔で不審がられる。

そんなに食えるわけないだろ?みたいな顔をされるのがイヤだ。完食したら完食したでアホかいな?という顔で見られる。実に迷惑である。

牛丼屋に行っても本当は牛丼と豚丼をそれぞれ大盛りで食べたいのに、人様の目を気にして牛丼特盛り1個で我慢するのはツラい。

街の蕎麦屋でカツ丼とざるそば大盛りを食べたいのに、普通盛りの蕎麦と小どんぶりのセットを勧められたりすると店員に殺意を覚える。

誰か連れがいれば安心である。相手が女性だったら尚更快適だ。「オキテ破りの大食い女」にあたらなければ、二人で4品ほど注文して私が3食分ぐらい楽しめる。

でも、女性連れだと、その後にデートみたいな展開になるから満腹太郎としては有難いやら面倒くさいやらでチョット困る。

満腹はアッチの欲望を一気に衰退させる。
ホントはとっとと帰ってノンビリしたい時もある。ワガママの極地である。

さて、ドカ食い問題だ。

根っからの東京人ゆえか、私はうどんより断然そばが好きである。ウマいそばが食べたい時は、老舗の名店などそれなりの店に出かける。

こだわりの蕎麦屋の困った点は、どことなく上品で凜としている店が多いことである。

通を気取ったオッサン達が難しい顔でうなずきながら蕎麦をたぐっている。「そばがき」がウリだったり、しゃもじに乗っかった焼き味噌を自慢げに出すような店だ。

まさに蕎麦を「たぐっている」と言いたくなる雰囲気。こっちはズズズ~と「かっこむ」気分なのだが、上等な蕎麦屋には変な圧を感じる。

もちろん、本格的なこだわりの蕎麦はウマい。香りもいい。たとえば、麻布「更科堀井」あたりでドロっとした蕎麦湯割り焼酎を堪能しながら上品な蕎麦を「たぐる」のは幸福な時間である。

それはそれで東京人の嗜みであり喜びである。でも、あえて言えば何か物足りない。他人様に連れて行かれた寿司屋で思い切り食べられずに欲求不満に陥るような気分に似ている。

四の五の言わずにガッツリと行儀悪く、ツユを撥ね散らかしながら蕎麦に向き合いたい時もある。蕎麦だけでゲップを連発するぐらい食べたい夜もある。

で、「ゆで太郎」である。あちこちに店を構える蕎麦のチェーン店である。

富豪っぽい気配はゼロである。凜とした空気なども無縁だ。通のオッサンが難しい顔で蕎麦とニラメッコしていることもない。

もちろん、そばがきやしゃもじ味噌焼が出てくる可能性もゼロである。

あくまで「ついで」に来たみたいな客ばかりだ。遠方からわざわざ来る人もいないだろう。

そんな「ゆで太郎」に無性に行きたくなる時がある。それもクルマを飛ばして近隣のコインパーキングに駐車してわざわざ出かける。

富豪を名乗ってカッッコつけている私の生活を支えているのは実は「ゆで太郎」である。正直に告白すると、この冬やたらと「ゆで太郎」にハマっている。

一応、ウキウキしながらわざわざやって来た様子は必死に消している。あくまで「ついで」に来たぜって顔を作ってしまう。

こういう見栄というか、変な自意識過剰が私の歪んだところである。

素直に笑顔満点で店に入ってウッキウッキの様子で蕎麦をかっこめばいいのに、「別にどうでもいいけど」「時間がなくてたまたま入ってみた」みたいな雰囲気を作る。

アホだと思う。でも、周囲の客は皆そんな雰囲気だから仕方ない。

さて、ゆで太郎だ。マズくない、いや、思った以上にウマい。いや、素直にウマい。

そばが食べたい時に行くのだから採点は甘めだが、暖かい蕎麦がとくにおすすめだ。

多くの有名蕎麦店が「せいろ」ばかりに気を取られ、汁物の蕎麦だと変にコシがなくなっちゃった一品を出すことを考えれば「ゆで太郎」は頑張っている。

何が嬉しいかって、ドカ食い的なヘンテコな注文をしても人様の目が気にならないことである。

冒頭の画像はゆで太郎での一コマである。
肉南蛮蕎麦大盛りにエビ天とかき揚げをトッピングして、ついでにタコ天も追加した画像である。ざるそばも注文して、まさに天国状態である。ヘタすると「おいなりさん2コ」という追加注文もしてしまう。

一応、ここまでやると結構なお値段になる。立ち食い価格の店なのに軽く1千円超えである。富豪を名乗る私の意地?である。

格調高い伝統ある老舗蕎麦店に入ってこんな注文をするのは難しい。だいたい、トッピングの天ぷらがアレコレ揃っていること自体、高級蕎麦屋では有り得ない。

ゆで太郎の天ぷらは揚げたてだ。素直に嬉しいのだが、調子にのって画像のような食べ方をすると、汁が油まみれになって大変だ。

そんな邪道な展開も大衆蕎麦屋ならではの楽しみ方である。

高級蕎麦屋でケチケチしながら食べるより、大衆蕎麦屋でトッピング三昧で贅沢したほうが確実に精神衛生上好ましいと思う。

ゆで太郎に行くと必ず食べ過ぎて後悔する。もう二度と行くもんかと決意するのだが、ほんの数日後には、あくまで「ついで」みたいなフリをしながらイソイソ出かけてしまう。

そんな冬である。

2 件のコメント:

主食は麺類県民 さんのコメント...

ゆで太郎、なぜか未経験です。
通勤や出張のルート上に店舗が無いからだと思います。
近日中に店を探して試してみます!

ちなみに、現在の私の立ち食いそばランキングです↓


吉利庵(品川駅構内のみ)>そばいち>めとろ庵>富士そば>湾岸そば

富豪記者 さんのコメント...

県民様

ゆで太郎知らずして蕎麦を語ることなかれ!!

とか言いながら列挙してもっらた蕎麦屋のなかで富士そば以外聞いたことがないです。