2014年11月28日金曜日

揚げ揚げ


食の好みは年齢とともに変化する。苦手だったモノを美味しく感じたり、好きだったモノを敬遠するようになったり、何とも不思議だ。


最近つくづく牛肉を食べなくなった。若い人に焼肉を御馳走しようと出かけて画像のような上等な肉がデーンと出てきても、私はほとんど食べない。同行者が97%ぐらい食べる。こっちはチャンジャや韓国海苔をツマミに焼酎をグビグビするだけだ。

若い頃は深夜にクルマを飛ばして一人焼肉に励んでいた。親しい関係の女子とは焼肉デートばかり。まだ未関係の女性とはすき焼きデートで、関係構築後は焼肉デートに移行するのが標準的な行動パターンだった。

今では私の中ですっかり牛肉の地位は低くなってしまった。いにしえのブランド品が出回りすぎてシュールなモノになっちゃうように「どうでもいい存在」である。

カルビと聞いただけでヨダレが出ていたのに、今では胃もたれを連想してしまう。われながら情けない。

不思議と牛丼は相変わらず好きだ。クタクタに煮込まれていろんな成分が溶け出ちゃっているせいだろうか。

牛肉に負けた?くせになぜか揚げ物はいまだに大好物である。逆流性食道炎がこのところおとなしくなったおかげで、一時期より揚げ物を解禁する機会が増えた。実に幸せである。


これからの季節はカキフライがウマい。カキの風味や旨味が衣の中に閉じ込められた日本料理の至宝だと思う。

この画像は銀座の某料理屋さんでの一品。異常なほどタルタルソースが好きなのにカキフライはレモン汁やソースをチョビっと使うだけで食べる。

まったく個人的な意見だが、カキは生より加熱したほうがウマい。生牡蠣をシャブリとともに味わうのが最高と言い張る人が世の中に溢れているが、私に言わせれば「ホンマかいな?」である。

シャブリにも様々な種類があるし、そもそもの食文化がまるで違う国の伝承だから、日本人が分かったような顔でウンチクザウルスになっているのはスマートではない。

日本には日本の味わい方がある。広島あたりでポピュラーな八丁味噌を使った牡蠣鍋を初めて食べた時には、感激してひたすらうなっていた記憶がある。


上質な出し汁をベースにお吸い物のように食べるのも好きだ。熱々をハフハフ言いながら、ネギや三つ葉の風味をアクセントにして食べると「ニッポンの冬バンザイ!」と言いたくなる。

揚げ物の話からそれてしまった。軌道修正。

タルタル人である私としては、相変わらず、お寿司屋さんに無理を言って一からタルタルソースを作ってもらう。相棒はもちろんエビフライである。

生きた車海老を茹でてもらうから、甘味、旨味がグワ~っと口の中に拡がる極上のエビフライに仕上がる。


本来ならちょこっとレモンを搾るだけで楽しむべきだろう。でも「エビフライにタルタルソース」は人して守るべき掟である。日本国憲法にも定められている。だからエビの味わいをまるで感じないほどドッサリ乗っけて食べる。

味覚ウンヌンをエラそうに書いていることが恥ずかしくなるほどタルタル人になりきる。バイ〇グラなど不要なほど官能的な気分になる。

命がけで私に食われる車海老が気の毒である。タルタルが主役なら、そこらへんのザリガニを揚げてもヒャアヒャア喜んで食べてしまうかもしれない。

さて、冬の揚げ物として見逃せないのが「白子フライ」である。メジャーな存在ではないが実にウマい。

白子の天ぷらが珍しくないのだからフライだって邪道ではない。白子ポン酢は日本酒のお供にもってこいだが、白子フライは焼酎とかハイボールと相性が良い。


トロリとした食感が最高である。ちょこっとソースをつけて食べると極上のクリームコロッケみたいな様子になる。

アンキモを食べ、カワハギをキモ和えで食べ、塩辛を舐め舐め、カラスミをかじって、白子フライを堪能する――。寒い季節ならではの夢の競演である。

世の中に痛風という病気がなかったら、日々そんなものばかり食べて酒をかっくらっていたい。

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