2014年3月14日金曜日

香りの話


香りフェチのつもりはないが、結構、良い香りにほだされてしまう。

先日も、雑貨屋を覗いていたら、妙にそそられる香りに誘われ、スティック付きのアロマエッセンスを買ってみた。


イタリア製のナンチャラオレンジの香りだとか。リビングに置いてみたのだが、部屋に入るたびにホンノリ漂う。悪くない。

思えば、いまの住まいに引っ越してきてから以前より香りに意識が向くようになった。

それまで家事にはノータッチだったから、香りにも無頓着だったが、柔軟剤にしても芳香剤にしても様々な香りがあって楽しい。



洗濯の際に欠かさず使っているのが、パッションベリーの香りの商品である。そんなに色々な種類を試したわけではないが、これにはゾッコンである。一途に愛している。

布団カバー、枕カバーを洗う時などは、この柔軟剤を多めに入れてしまう。ホンノリ漂うパッションベリーのせいでリラックスできる。

でも、パッションベリーって何じゃらほい?である。そんなもの見たことも食べたこともない。謎だ。

トイレに置くのはフレンチバニラの香りである。これまたマッタリとした香りが良い。フレンチバニラって何じゃらほい?だが、きっとフランスのバニラなんだろう。

そのままだ・・・。

この二つの香りは私の気ままな貴族生活?の必需品になってしまい、いまでは、ストックを多めに常備するほどである。

旅に出ても、アロマオイルっぽいものをついつい買ってしまう。たいてい、後々になって気に入らなくて捨ててしまう。

いつだか、熱海の高級温泉旅館に行った時に売店で見つけた「梅の香りスプレー」もそんなパターンだった。

数ある花の中で私は梅が一番好きである。だから梅の香りエキスが入った芳香剤を発見して喜んで買ってしまった。帰宅して寝室を中心にシュッシュと振り掛けてみた。

なんかクサい。ジイサンの加齢臭をトンがらせたような鼻をつく感じ。売店で試しに嗅いだ時は爽やかだったのに全然感じが違う。嗅覚なんてモノも気分で随分変わるのだろう。

昨年秋にスペイン、アンダルシアを旅した時も「アルハンブラの香り」なる室内用アロマエッセンスを購入した。

世界遺産・アルハンブラ宮殿をイメージしたらしいが、そんなものをイメージしたら古めかしくてカビ臭い感じになりそうだ。でも、こちらは結構爽やかな香りで気に入っている。

スプレーボトルに移して、時々、シュッシュと部屋にまいている。なんとなく気分が落ち着くから不思議だ。

ラベンダーの香りグッズもついつい買ってしまう。ラベンダー枕、ラベンダーアイマスク等々、随分買ってみた。安眠を誘うという謳い文句にそそられるのだが、最近は、酔っ払ってコテっと寝ちゃうからちっとも役に立っていない。

良い香りに惹かれるとはいえ、コロンなど身体につける商品には興味がない。高校生の頃までは使っていたが、いまでは一切使わない。

髭剃り後のアフターシェーブローションですら無香性しか買わない。

香りで異性の気をひこうとしているような男の魂胆がどうにもカッチョ悪いことに思えてしまう。結果、私は素の状態で加齢臭を世界中に振りまいている?わけである。

中学生の頃、色気づいて香水をアレコレ試した。イタリアの俳優・マルチェロ・マストロヤンニのCMでおなじみだったバルカンとか、草刈正雄と渡辺貞夫が競演していたブラバスとか、テレビの影響で使っていた。

ませガキである。

その後、テレビCMで知られる商品なんてダッサいオッサンが愛用するものだとヘンテコな思い込みが強まり、得体の知れないコロンを適当に買うようになった。

高校生ぐらいの頃、若者向けのバイブルだった雑誌「ポパイ」とか「ホットドックプレス」に広告が載っていた「4711」のコロンをオシャレだと思って愛用した時期もある。

若さって無鉄砲というか、無思想というか、思い返すと実に滑稽だが微笑ましい。ああいうシャレっ気は今の私にこそ必要なのかもしれない。

女性の香りもあまりキツいのはイヤだ。香水で素敵な香りだと思えるものはまずない。

シャンプーやヘアクリーム、ハンドクリームや保湿ローションとか、その類いの香りがホンノリ漂うぐらいで丁度良い。

ツンツンと強い存在感で周囲の空気を切り裂くような香水を愛用する女性は苦手だ。個人的な意見だが、センスが欠落していると思う。

もちろん、香りなんて個人の好みだから、本人が気に入っていればそれで良いのだろう。でも、個人の好みということは、逆にその香りが苦手な人もいるわけである。

そういうことに思いが至らない、配慮が出来ないこと自体がセンスが足りない。

風呂に入る習慣がなかった西洋人が悪臭を隠すために開発したのが香水である。いまの生活環境の中で、ぷんぷん強い匂いを放つ人を見ると、風呂が壊れているのかと思ってしまう。

香水好きな人、ゴメンナサイ・・・。

まあ、そんなこと言っても、私だって、大昔には、親しく付き合った女性が愛用する香水に魅せられたこともある。

不思議とツンツンする香りではなく、皆さん丸い香りだった。丸い香りなどと書くと意味不明だが、ぬるくて甘くて優しい香りである。分かってもらえるだろうか。

そんな人たちの顔を思い出すたびに、香りの記憶が甦って甘酸っぱい気分になる。時々、街角で懐かしい香りがふっと鼻をくすぐったりすると、おセンチオヤジに変身してしまう。

いかんいかん、若い頃を思い出してばかりだと老化が激化しそうだ。

今現在を一番充実させることこそが人生の大事な課題である。

懐かしい香りではなく、現在進行形で心が揺さぶられる香りを探さないといけない。

0 件のコメント: