2013年6月19日水曜日

殿堂入りのとんかつ


時代の流れに負けて使い始めたスマホには1600万画素のカメラがついていた。実にムダなスペックだが、私もブロガーのハシクレである。ちょこちょこと画像をアップするわけだから有効に活用しないとなるまい。



ということで、記念すべき画像1発目は「とんかつ」である。最初に載せる画像がインスタント麺とかソースの瓶とかだと残念な感じだから、とんかつで正解だ。

許されることなら毎日3食でも食べたいのがとんかつだ。肥満、胸焼け、逆流性食道炎等々のオトナの事情によって滅多に食べないが、この日は貴重な情報を入手したので腹ぺこ状態で食べに行った。

情報源は、高田馬場・鮨源の職人さん。「近くにアホみたいにウマいとんかつ屋がありまっせ」というタレコミだ。CIAやKGBも真っ青な国宝級の情報だった。

高田馬場には、知る人ぞ知るとんかつの名店「とん太」があるのだが、訳あって長い間訪ねていない。情報によると、そこよりも満足できるスペシャルな店らしい。胸が張り裂けんばかりのドキドキ感とともに行ってみた。

店の名前は「成蔵」。高田馬場のシュールな老舗「餃子荘ムロ」のすぐそばに佇んでいた。

平日の夜8時過ぎなのに満席だ。相当な人気だ。割とすぐに席に案内される。ジャズなんかが流れていて、カフェ風の作り。こういう路線のメシ屋さんは個人的には好きではない。

サービスは至って普通だが、全体にスローなリズムだ。カウンターで調理するコックさんは2名、何気なく見ていたのだが、こちらもアセアセ動き回るわけではなく、どこかゆったりと作業している感じ。

カフェ風の雰囲気、キビキビとは違うテンポ、ついでにいえばメニューに酒のツマミになりそうなものがない。おまけに身の厚いとんかつを頼んだから出てくるのに時間がかかる。

そんなこんなで、短気なオッサンである私は、連れに向かって「こういう店はイヤだ」とか「もう来ないな」とかブツクサ文句を連発していた。

そうこうしているうちに、とんかつ登場。一口食べてみた。とっさに「また来ようぜ~」と叫ぶ私。笑顔爆発、バカ丸出しである。

衝撃的にウマかった。店の雰囲気とかメニューがどうたらとか、そんなことはミジンコみたいに極めて小さい話である。

あれだけウマいとんかつを食べさせてくれるならBGMが例え民謡だろうと、席が相席だろうが構わない。いや、立食だろうと気にしないで食べに行きたいぐらいだ。

ついでに言えば、箸がないから手で食えって言われても受け入れてしまいそうだ。

もう一つついでに言うなら「何じゃこりゃ~!」という印象だ。「太陽にほえろ」で松田優作扮するジーパン刑事が凶弾に倒れたときのセリフだ。そのぐらい驚愕に値する味だった。

ちなみにこの店では、1000円ぐらいから各種定食が用意されているが、この日は自慢の逸品らしい「シャ豚ブリアン」というベタなネーミングの特ヒレカツと、レギュラーメニューではない限定品の金華豚の特上ロースカツをオーダーした。

金華豚は3600円、特ヒレは2300円ぐらいだったろうか。両方で50人以上にマックのハンバーガーをご馳走できる金額だ。とても高価ではある。

隣の席の客が食べていた普通のヒレカツも充分に美味しそうだったから、なにも最上級品にこだわる必要はないのだろう。マックのハンバーガーを10人ちょっとで食べる値段で極上の幸せが味わえるわけだ。

でも、周囲の若いお客さんに比べたら私の人生の残り時間は確実に短いから、ここぞとばかりに奮発してみた。

ちなみに、私がいつも金銭換算の例えに使うマックのハンバーガーだが、このブログで書きすぎたせいで?、まもなく単体で570円の高額商品が登場するらしい。それはそれで正しいことだと思う。

さて、冒頭の画像は両方を混ぜて撮影した。やはりロースの脂はチトきつい。最初のうちは甘味タップリの脂が嬉しいのだが、3切れ目ぐらいからはヒレのしっとり感に惹かれる。そのあたりは単に好みの問題だろう。

肉のうまさはもちろんだが、衣が軽い点が素晴らしい。ちっともクドくない。事実、バクバク食べまくったのに、食後の苦しさ、胸焼けとは無縁だった。

実はとんかつの他に、大きなエビフライとメンチカツも頼んだ。それだけの揚げ物大会にもかかわらず、食後が爽やかだったのは奇跡だと思う。

エビフライがまた絶品だった。浅草や銀座あたりの歴史のある高級洋食屋も太刀打ちできないレベルと言っても良いかもしれない。

エビフライは一本から注文できるそうだ。次回は3本ぐらい頼んでタルタルソースをべろべろ舐めながら生ビールとともにグビグビかっ込んでからヒレカツと対峙したいと思う。

変な話、この店のとんかつを食べて思ったことは、「健康は大事だ」という一点である。胃腸の状態が健全でなければ、揚げ物をニコニコと大量摂取することは難しい。

日々の摂生に努めようとガラにもないことを思いながら膨れあがった腹を撫でながら帰路についた。

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