2012年2月20日月曜日

幼なじみ

なんともなしに旧友と飲む時間は実に愉快だ。利害関係もなく、上下の関係もなく、ただただバカ話でホロ酔いになる。

癒されると言っては大げさかも知れないが、それに近い感覚がある。

先日、久しぶりに会う旧友たちと飲んだ。連日の飲みすぎで内臓がお疲れ気味だったのだが、ああいう集まりだと、俄然元気になる。

中学、高校時代の友人達だったのだが、偶然にもそこに集まった5人は、小学校はおろか、幼稚園から一緒だったことに気付く。

幼稚園児といえば、4歳とか5歳だ。言ってみれば、まだ人間にもなっていない存在だ。そんな時から付き合いがあることは不思議な縁なのだろう。

中学、高校時代、それぞれが密接に付き合っていたわけではない。それでも、この年になって集えば、共有した時間のおかげで、ギクシャクした空気とは無縁の宴会になる。

幼稚園の頃の世相といえば、その後、私が通うことになる(ウソです)東大で安田講堂事件が起きたり、沖縄返還をめぐってテンヤワンヤだったり、三島由紀夫がハラキリしたり、そんな混とんとした時代だった。

無論、幼稚園児がそんな時代の空気を知るよしもなく、みんなスクスクと大きくなっていく。思春期を迎え、恋をして、社会人になり、いろんな目に遭い、結婚して、子供を作って、離婚した。

この日の5人のうち4人が神に誓ったはずの生活を破たんさせた経験を持っていた。キリスト教教育を幼稚園時代から受け続けるとそういう特徴になるのだろうか。

同じ再婚組でも、嫁さんが精神的にヤバい状態で、本気で殺されそうになっている友人がいる一方で、来月にも子どもが誕生するハッピーな友人もいる。

人生後半戦、なんとも複雑な様子だ。

別な友人は、とっとと子どもが巣立っているため、老後の人生設計を練っているし、別な友人は、幼い子どもを思って自らの相続税対策に知恵を絞っている。

人生いろいろだ。

それぞれの友人から漏れ聞こえてくる他の友人達や恩師達の行状にも驚く話が多い。

乳児をおぶってキャバクラに飲みに行く友人がいるとか、バツ3だかバツ4になった上で、懲りずに19歳の外国人と暮らして毎日ヒーヒー言ってる友人もいるらしい。定年間近の恩師が、どこかで知り合った70過ぎのお婆さんと肉体関係を結んで、その後もオネダリされて困っているとか。みなさんハツラツ?としている。

誰もがこの年になれば、健康診断で「要再検査」の烙印を押されたり、どこかしら痛かったり痒かったり、血圧がどうの、血糖値がどうの、毛髪がどうの、EDがどうしたといった問題を抱えている。

私を例にとると、二十歳ぐらいまでは開脚180度が可能だった。脚を前後に広げてぺたっと地面に接地するほど身体が柔らかかったのだが、今では背中を掻こうと手を伸ばすだけで、筋肉がつったりする。

放っておいても快調でいられる年齢ではないのだろう。節制とか鍛錬をそろそろ日々の課題にしようかと真面目に考えたくなった。

自宅の近くにムエタイのジムが出来たから通ってみようか。それともテニススクールにでも行って、有閑マダムに流し目を送ろうか。何でもいいから身体を鍛えることにトライする年にしようと思う。

話がそれた。

老境と呼ぶにはあまりに早いが、かといって、ゆるやかな老化をひょんなところで実感する年齢になって、子どもの頃の友人と集うのは、一服の清涼剤みたいなものかもしれない。

それぞれが、仕事でもプライベートでも、肉体的にも精神的にも厄介事ばかりに囲まれる年代だ。われわれの世代に対して世間様が要求してくることも何かとシビアだ。

描いた夢と叶わぬ夢が同じ意味であることにはとっくに気づいているし、ため息をつくこと自体も減った。そうはいっても、安易な達観とか、あきらめの感情を持つほど枯れているつもりはない。時たま顔を出す若造みたいに鋭敏な部分に怖さも覚えるが、それを肯定する快感も捨てたくない。

それでも、厄介事を前にすれば、結局は鈍く淀むような感覚に自分を追いやりたくもなる。もがくべきかと悩んでも、もがいた末に手にする現実を消極的に想像して、その思った以上の小ささにうろたえ、迷路の出口を見つけられずにいる。

そんな年頃?の渦中にある。

ずいぶん、ウダウダ書きなぐってしまった。

なんだかんだ言って、まだまだ気を張って攻めていないとならない年代ではある。

無邪気で破天荒で、怖いもの知らずだった時代をリアルタイムで共有していた友人達と会えば、束の間、子どもの気分に戻る。

翌朝のだるさで、結局は加齢を痛感して、現実に引き戻されるのだが、なんだかんだ言ってエネルギーをもらえているような気がする。

今週末、中学高校時代の同期会が行われる。一部の幹事の尊敬すべき努力の甲斐あって、上手く運べば全体の3分の2ぐらいが集まりそうな状況らしい。この年になってそれだけ集まるのは凄いことなのかもしれない。

せいぜい元気でハツラツなフリでもしようと思う。

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