2011年9月16日金曜日

恩師と後輩

先日、ひょんなことで小学校時代にお世話になった先生と再会した。場所は溜池山王にある中華「美食菜舘」。旧友が営む店だ。

その日、これまたひょんなことで、母校の後輩達と知り合いになり、彼らと世間話をしながら呑んでいた。

小中高とエスカレーター式で通った学校なので、その日知り合った後輩でも話の共通点はすぐに見つかる。2学年下と8学年下の後輩だったのだが、「後輩」という割にはオジサン達だから自分の年齢が心配?になる。

そこへ小学校時代の先生が偶然登場。もともと、この「美食菜舘」には、母校の出身者がやたらと集まる。上は20年ぐらい先輩から、下はやはり20年ぐらい後輩も顔を出すそうだ。

その先生も、元生徒有志の企画による定年退職の慰労会を数年前にこの店でやった縁があるそうだ。この日はご家族と食事会だとか。

私がいたいけな小学生だった当時、母校には不思議な伝統があった。6年間一度もクラス替えがなかったことがそれ。

小学校は3クラス。全部で120人ぐらいの同窓生なので、6年も通えば、一応、全員顔見知りではある。ただ、クラス替えが6年間無いわけだから、必然的にそれぞれのクラスごとに「畑意識」みたいなものも生まれる。

中学以降の6年間は普通にクラスは毎年シャッフルされ、そんな畑意識も薄らいでいく。中学から入学してくる優秀な連中が1クラス分加わるので、自然と小学校時代の固まり方は変わっていく。

優秀な連中は優秀な人間同士で仲良くなり、バカはバカで寄り集まっていく。中学から入ってきた最初は優秀だった連中も、その多くが、ものの1,2年でバカ連合にミックスされていく。

小学生の頃は仲良かった者同士でも、東大に進むような立派な路線に向かう子どもと、女子高生の尻ばっかり追っかける路線の子どもに別れたりする。

小学生の時に仲良かった旧友が、中学、高校では縁遠くなり、その後、40代で東大教授になっていたりして驚くことがある。

そう書くと私自身が身を置いていた路線がバレバレだ。どこでどう運命が変わるのだろうか。深くて切ない?テーマだ。

そうやってシャッフルされて10代の多感期を過ごしたわけだが、原体験は不思議なもので、いまだに悪友達と集まる際には、小学校がどのクラスだったかでアホみたいな言い争いとか対抗意識の話で盛り上がる。

ちっとも進歩がない。

話が随分それてしまった。先生の話だった。

先生は、当時私の担任を受け持ったことはない。隣のクラスの担任だった。そういう場合、あまり懐かしさとか感慨は感じないが、この先生にはお世話になったので素直に再会が嬉しかった。

小学校では、毎朝の朝礼の後に全校生徒にさまざまな検査があった。ハンカチを持ってきているか、上履きは指定のものを履いているか、はたまた、爪が伸び過ぎていないか、など、随分と細かい事柄がチェックされた。

当時、先生は生活指導の担当で、この検査の元締め役だった。そして、毎朝の朝礼で全校生徒相手に検査を仕切る役目になぜか私を指名した。

私の一存で、毎朝、何を検査するか決めるわけだ。違反者は校庭を走らされたり、腕立て伏せの刑に服すわけだから、私の権限は大きい。

ハンカチを忘れてきた友人が、「今日はハンカチ以外の検査にしてくれよ」とか、朝礼の前に頼みに来たりする。「おう分かった、で、見返りは?」などと答えていた私だ。

おまけに、検査する側でエバっていた私自身は、日々平気で違反だらけだった。ヒドい話だ。

言ってみれば、小学生の分際で汚職にまみれた小役人のように利権をむさぼっていた日々だ。それもすべて先生が私を指名してくれたおかげ?だ。

一応、たまには違反者達の造反にあって、抜き打ちで身体をまさぐられ、ハンカチを持ってきていないことがバレたりして、一緒に腕立てとかをしたこともある。バカ丸出しだ。

なぜ、あの頃、私がそんな役目を担わされたか、私自身ナゾだったので、この日、せっかくだから先生に尋ねてみた。

先生も30年以上前のそんな話をよく覚えていてくださった。

「悪いヤツほど、責任を押しつけると真面目に頑張ったりするんだ」。そういう趣旨のことを言われた。ガーン!!だ。

まるでチンピラ小学生だったかのような言われ方だ。中学、高校時代はさておき、小学生の頃は、普通の可愛い子どもだったと勝手に記憶している私にとっては、なんともビミョーだ。でも先生に指摘されるのだから少しは?当たっているのだろう。

いや、当時、先生は30歳代前半だ。まだまだ若者だったから、間違った印象で私を見ていたのだろう。そういうことにする。

いま、先生は那須高原で「あかつき村」というキャンプサイトを運営されている。ほとんどを自分で作り上げていったそうで、日々、進化を続けているそうだ。

http://www.akatsukimura.com/

都会のもやしっ子に自然を体験させるにはもってこいの場所だと思う。もやしっ子のままオジサンになってしまった私としても、機会を作って出かけてみなければ。

いずれにしても、この日は、純粋無垢だった子ども時代の思いがけない話が聞けたりして、とても楽しかった。

しがらみや建前だらけの日常を過ごしていると、少年時代への郷愁が強くなるのかもしれない。

その点、童心に帰れる機会をもたらしてくれる旧友の店の存在も有難い。店選びをウマいのマズいので判断している場合ではない。

なんかそう書くとこの店の料理がマズいみたいだ。そんなことはありません。餃子もウマい、肉団子黒酢ソースもウマい、カニタマもウマいです。

ちなみに、この日、知り合った8コ下の後輩氏が、「美食菜舘」の店主つながりで、以前から私のこのブログを読んでくれていたそうだ。

実に有難い話だ。

でも、ついでにこんなことを言われた。

「もっと真面目な人が書いていると思ってました」。

ガーン!!だ。

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