2011年8月12日金曜日

カミングアウト

成り行き上、「富豪」を名乗ってしまったせいで、このブログでみみっちい話は書かないようにしている。

なんだかんだ言っても、私もセコビッチ太郎なので、貯めている小銭がいっぱいになって、銀行でお札に交換してもらうのが至上の喜びだし、会社の近所の古本屋を覗いて100円の本を吟味するのも楽しみだ。

灰皿の中のシケモクをヤケドしそうになりながら吸うこともあるし、自宅近所の90円で缶ジュースが買える自販機にも良く行く。

このブログでは富豪として振る舞わねばならないため、日々、高級寿司店とか高級料理屋で食事をしているような書きぶりだ。

実際には、そんなはずはない。プロントでまずいピザを食べて終わる夕飯もあるし、リンガーハットの皿うどんで終わる日もある。

なんだかんだ言って、俗に言うB級グルメとかファーストフードも実はかなり好きだ。ジャンクフードとともに育ってきた年代だからだろうか。

牛丼は「松屋」支持派だ。アマノジャクとしては、単なる牛丼ではなくビビン丼やキムカル丼あたりが好物だが、別注の牛皿を更にトッピングするあたりは、一応、富豪的だと思う。

最近は「旨辛ネギ玉牛丼」がイチオシだ。辛めのネギと半熟卵が牛丼に加わっている。これに別注の牛皿をトッピングすれば言うこと無しだ。


話は変わる。

シンコは終わりだ、新イカはまだか、などと寿司通みたいなことを書き連ねている割には、隠れ回転寿司ラバーでもある。

カミングアウトしてスッキリした!

回転寿司は、あれはあれで別格のジャンルを確立している存在だ。

握り寿司というより、乗っけ寿司と呼んだほうが的確だろう。寿司を文化的、学術的に捉えずに、新しい時代の食い物として割り切ってハジケているところが良い。

邪道か否かという次元ではない。正しいか正しくないか、という議論もあの世界では不毛だ。変なモノにこそ、ある意味、回転寿司の「矜持」があるのだろう。大袈裟か。

先日ぶっ飛んだのは「シュリンプピザの握り」だ。説明は不要だろう。ピザ味だ。善し悪しに関係なく、この居直り具合が凄い。

「豚しゃぶ握り」も食べた。「げそマヨサラダ軍艦」も食べた。「明太ポテト軍艦」、「エビフライロール」、「トンカツロール」、「コーンマヨ軍艦」も食べた。

食べた、というか、私の場合、回転寿司に出撃する場合、その手のヘンテコ寿司しか食べない。普通のオーソドックスな握りは、滅多に頼まなかったりする。

一見、変わり種ではない「エンガワ」もよく注文する。話によると深海に住む得体の知れないナントカガレイが素材らしい。

脂が乗ってると言うより、不健康にビチャビチャしている。そのゲテモノ感に引き寄せられて結構良く食べる。

しょせん私の味覚はそんなものなんだろう。

で、ここからは話を富豪っぽく持っていく。

回転寿司で奇妙な寿司を食べると、あらためて真っ当な寿司の有り難さというか、偉大さが分かる。

馴染みのお寿司さんでは、邪道な注文を平気でしてしまう私だが、基本的には王道的な正しい寿司に惹かれる。




写真は上から、イワシ、サンマ、シンコの握りだ。この季節、青魚が恋しくなるが、イワシもサンマもまだまだ締まっていて素直にウマい。

脂が乗りすぎると、どうもグジャグジャした食感が出てくるので、ハシリに近い頃のネタのほうが好みだ。いくらでも食べられる感じだ。




こちらの画像は、キスの昆布絞め、カツオの握り、イサキの刺身だ。

カツオは薄切りを3枚ほど重ねて握られていた。空気感?のせいで食感が変わる。

つまみで頼んだイサキは関アジ、関サバで知られる大分の佐賀の関からやってきた。身が締まっていて旨味もあってバツグン。キモまで付いてきたのでウヒョウヒョだ。

この画像はすべて、よくお邪魔する高田馬場の鮨源で味わった逸品たちだ。いつもスーパーツナマヨ軍艦とか、刺身用の馬肉をバター炒めにしてもらうような邪道オーダーばかりしているが、この日は真っ当な寿司ネタを真っ当に食べた日だった。

いつも、こんな風に真っ当に寿司をパクついていればイキなのだろうが、頻繁に出没しているとついつい変なものを頼んでしまうのが困りものではある。

先日も、腎虚?気味だったので生牡蠣用のカキを摂取することにしたのだが、こってりバター炒めにしてもらった。

イタリアン顔負けのオリーブオイルをしっかり投入されたカキバターは実に官能的な味だった。

携帯が壊れてしまって、せっかく撮った画像がないのが無念だ。

実は邪道はここで終わらないからリアル邪道だ。

牡蠣を食べちゃった皿に浮かぶ不健康そうな「オイルバターソース」が私に何かを訴えている。

「うまいぞ~!」と囁いていた。

「パンある?」。天下のお寿司屋さんでそういう失礼な問いかけをした私だ。アホ丸出しである。

残念ながらパンは無かった。その代わり「シャリを入れてリゾット風にしますか?」と板前さんが神のような言葉を私にくれた。

ニコニコうなずく私。しばし待っていたら、クリームチーズまでミックスされた「牡蠣エキスオイルバターしゃりリゾットクリームチーズ和え」が出てきた。

そりゃあウマいでしょう。悦楽の味が口に広がる。冷酒を飲んでいたので、酒との相性は全然ダメだが、それが気にならないぐらいパンチの効いた味だった。

「まっとうなネタをイキにつまんで、四の五の言わずに颯爽と店を後にする小粋な男」。実はこれ、15年前に目指した私の15年後の姿だ。ちっとも近づいていない。それどころか、年々だらしなくなってきている。

次の15年。私はどんな不気味な進化を遂げるのだろう。

★★夏休みモードなので、来週の月曜日と水曜日は更新をお休みします。

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