2011年4月20日水曜日

義援金でトクをする?

高額な義援金を拠出する人は、どう逆立ちしたって、それをしない人より褒められて当然。それ自体は間違いないのだが、金額を自ら発表する風潮は、何かしっくりこない。モヤモヤする。ひがみ根性だろうか・・。

まあ、そんな綺麗事を言っても仕方ない。経営者であれば企業のイメージアップを考えるし、人気商売の人は、当然、その行為をアピールしたいだろう。

もちろん、そうした報道に触発された第三者がせっせと義援金を出すつもりになれば、「発表ブーム」もあながちムダではない。

韓国人は、WBCで敵役になったマリナーズ・イチロー選手を批判したらしい。理由は、韓国同胞の「冬ソナのペ」が出した義援金とイチローのそれが同水準だったからだという。バカみたいな話。

金額の公表は、逆に「それっぽっち?」とか言われかねないから、有名人の方々もお気の毒。つくづく一般人で良かった思う。

さてさて、高額な義援金を出す場合、当人は当然テクニカルな面が関心事になる。すなわち、義援金を出すことで、どういう効果が得られるのかということ。

イメージアップといった観念的なものではなく、いくら節税が出来るのか、自分の税金はどのぐらい戻ってくるのかといった部分だ。


「そんな考えは不謹慎」という声もありそうだが、それこそが綺麗事だろう。高額な支出の裏にまったく思惑がないというケースは奇跡に近い話だと思う。

だいたい高額な出費をただ漫然とアト先考えずに支出するのは天文学的なお金持ちぐらい。そういう次元のお金持ちは一般社会では見かけないから、その手の偉人を尺度に考えても仕方がない。

わが社が発行する新聞は、震災関連の現象面を追う一般メディアとは異なり、こうしたオモテに出てこないテーマにもスポットをあててアレコレ取材している。

表層的な事実を浪花節調に取り上げるよりも、その背景にある問題点や意外な経済的影響を随時掲載している。

わが社でも取材班を被災地入りさせたし、支援チームが飲料水を持参して、被害甚大地に直接届け、現地の生の声を聞き取った上で、義援金の支出先を慎重に検討している。

闇雲に義援金を送って、それが東京電力が本来補償するはずの所に配分されては堪ったものではないし、現地の声に最大限配慮することが大切な取組みだと思っている。

そういうサポートに向けた意識と、被災地以外で求められている情報とは別個であり、編集制作上は、そのあたりの機微を考えながら、実情に応じた紙面作りを展開中だ。

義援金については、寄付金控除との絡み、ふるさと納税制度を利用した場合のメリット、借金してまで支出する場合の税務上の効果、個人と会社の二つのサイフの使い分けによるアレコレ、経営する会社が行う寄付行為にともなう各種の効果など、記事で取り上げるパターンはさまざまだ。

経営者がそれなりの金額を拠出する際には、たとえどういう場面であっても、さまざまな角度から効果を検討する。

「はたしてこの義援金を払うことでどういう効果があるのか」。純粋な善意とともに必然的に脳裏をよぎるこうしたテーマを噛みくだいた記事にすることは専門メディアの役割だ。

現場記者からの報告によると、黒字体質の会社であれば、高額義援金を会社で支出することで、理論上、後継者へのバトンタッチの際に有利になる相続税対策まで実現できるようだ。

節税効果を発揮するテクニックを「不謹慎だ」と片付けるのは簡単だ。もっともらしく聞こえるが、否定ありきの必要はないと思う。

極論すれば、高額義援金の支出で大幅に節税が出来たのなら、浮いた分を更なる復興支援に向けることだって可能になる。

世の中には、壊滅した被災地に取引先があったことに仮装して、インチキの貸倒れを計上しようと企むようなヤカラも存在する。

そうしたインチキは純粋に不謹慎だが、正当な手法で「効果」を追求する分には非難される必要はないと思う。

なんてったってそれだけの支出を現実にしている以上、その行いは尊い。

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