2011年2月28日月曜日

サソリを食べてみた

今日のタイトルだが、「ブロガー」である私にとって涙がちょちょ切れるほど嬉しい。手前ミソで恐縮だが実にシビれる。

活字媒体を仕事で扱っている以上、「見出し」とか「タイトル」がすべてみたいな感覚がある。

今日のタイトルは完璧だ。バンザイ。こういうバカみたいなネタを書くために日々アンテナを張っているように思う。


中華料理屋のメニューにサソリが載っているだけで驚きだが、こんなものを注文する人は、100%がそれを食べたいというより単なる話のタネにしたいだけだろう。

私もそうだ。別にサソリなんか食べたいと思わない。でもメニューで発見しちゃった以上、ブログに載せる画像を撮影したいだけでオーダーしてしまった。

サソリだ。店の人に「美味しいの?」と聞いてしまう私。「別に味なんて無いですよ」という素敵な返答がかえってきた。

味もないのに立派なお値段だ。いまどきの牛丼が10杯ぐらい買える。ウマくもないのにメニューに載せる店側の意図も単なる話のネタ提供に他ならない。


で、やってきました。サソリ。グロテスクこのうえない。こんなものを初めて食べた人間はきっと餓死寸前だったのだろう。

店員さんが言う。「養殖モノですから毒も無いんですよ」。なんともだらしないサソリだ。毒もないなら栄養とか精力の源も無いのだろう。

恐る恐る食べてみた。素揚げされたサソリを塩コショウをパラっとひと降りして味わう。

ホントに味がない。お寿司屋さんが揚げたり焼いて出してくれるボタンエビとかの頭のほうがよほど毒々しい感じに思える。

内臓系の塊みたいなジョワッとかブチュとかいう感じの食感すらない。ただサクサクしているだけ。拍子抜け。スナック菓子より心許ないサクサク感を感じながら味は一切無いまま消えていく。そんな感じ。

暑い真夏に生ビールのつまみに目の前に積まれていたら普通にワシワシ食べそうな感じではある。

まあ何だかんだ言って、「サソリを食ったことがある」というネタは10年以上使えそうだから良しとしよう。

それにしても養殖ということは専門業者がいるわけだ。いろんな仕事があるもんだ。

初対面の人から仕事内容を聞かれて「サソリの養殖です」なんて答えられるのは結構カッコいい。でも職場を覗きたいとは思わない。恐すぎる。

この店、北京ダックで有名な「全聚徳」の銀座店。北京の本店は世界中のVIPが訪れることで知られているが、銀座店も妙に豪華な造りで、ちょっと気取った気分で中華が楽しめる。


当然、目的は北京ダックだ。サソリの店みたいな書きぶりだが、北京ダックはさすがの味わい。単純明快にウマかった。

料理人が焼き上がったダックを席まで運んで切り分けてくれる。皮だけではなく、肉もしっかり付いたダックを味わうのが本場流だ。ウェイターさんが甜麺醤やネギ類などをトッピングしてくるんでくれるからバクバク食べるだけだ。

くるまれて供される北京ダックを味わう前には、切り分けられた皮だけを砂糖をまぶして食べる。これが官能的な味。ジュンワリ出てくる脂を砂糖が受け止めて、紹興酒が際限なく呑める。


正直言うと、この「皮砂糖」ばっかり食べたいぐらいだ。いつの日か、一人で一羽まるまる注文して、半分ぐらいは「皮砂糖」を堪能して、残りをオーソドックスに食べるという贅沢オーダーをしてみよう。

高級フレンチで恐ろしい価格のワインまで頼むことに比べれば、価格的にもそのぐらいの贅沢は現実的かもしれない。

北京ダック以外の他の料理もそこそこ美味しかった。高級中華系にありがちなアッサリ爽やかヘルシー料理とは違い、昔ながらの油っぽいガッツリした料理が多かった印象。

それはそれで、時代に迎合していないような感じで悪くない。店に来たすべての客が注文するわけだから、広い店内を常にテカテカしたダックが運ばれている風情も楽しい。

久しぶりに食の悦楽を感じた時間だった。

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