2010年2月22日月曜日

脱税王がトップにいる国

気が早いが、今年の流行語大賞の候補に「平成の脱税王」をあげたい。さきの衆院予算委員会で自民党の与謝野元財務相が鳩山首相を評したフレーズだ。

所得税の確定申告が始まったが、行政のトップが脱税王と言われているわけだから、現場の税務署ではどんな空気が支配的か自ずと分かろうというもの。

鳩山首相だけでなく、「最高権力者」である小沢一郎氏も脱税の臭いがプンプンだ。例の政治資金問題での釈明では、「万一の場合に備えて家族名義にしていたカネ」という趣旨の発言が当たり前のように使われていた。

それって贈与税は?相続税逃れのため?等々、税金面ではツッコミどころ満載だ。

先日、国税OB税理士と会食した際、税務行政の現場でも相当不満が強まっているという話を聞かされた。すなわち、権力者の税金不祥事に対して傍観状態の国税の現状に多くの第一線税務職員が怒り心頭だとか。

そりゃそうだ。その昔、時の最高権力者である田中角栄元首相を脱税という観点で攻め落とした国税の調査能力を眠らせたままでは、弱腰という批判が出ても仕方ない。

このままでは間違いなく「贈与税はバレたら払うもの」という最悪の前例が出来てしまう。おまけにバレてから払ったところで重加算税もかからなければ、マルサも動かないのでは、真面目に申告する機運など盛り上がるはずもない。

それにしても不思議なのは、政権トップの脱税疑惑に世間一般の怒りが沸騰していない点。確定申告シーズンのいま、各地で申告ボイコットが起きていないことが不思議なぐらいだ。

毎年毎年、全国各地の成人式で間抜けな新成人が大騒ぎするが、変な話、確定申告会場で義憤に燃えるオジサン、オバサン達が大騒ぎするようなシーンが見られてもちっとも不思議ではない。

そんな動きがないことは、ある意味気持ち悪いことかもしれない。平穏でいる理由が国民のあきらめや無気力感だとしたら逆に恐い。あきらめや無気力からはそれこそ何も生まれない。

思えば、政権交代というドラマで国民が感じたのは漠然とした前向きな気分だった。新政権に頼りない印象も強かったものの、やはり清新イメージは閉そく感の打開を期待させるには充分だった。

ところがフタを開けてみれば、かつてないほどズサンな脱税疑惑。これじゃあドッチラケもいいところだろう。

民主党政権の支持率が一気に低下する一方、自民党の人気が上がるわけでもない。結局は分裂だの第三極だのといったゴタゴタが近づいている気がする。そんなことが続けば国民のあきらめ感情は一層強くなり、どんよりとした空気ばかり広がってしまう。

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