2010年1月12日火曜日

脱税に成功した人

2月1日から贈与税の申告期間が始まる。今年は全国の税務署でイヤミが飛び交い、はたまた申告しない人がかつてなく増えるのは間違いない。

鳩山首相が母親からの巨額な資金援助について、昨年の暮れに贈与税の申告を行ったが、端的に言って「バレちゃったから申告しました」という構図でしかない。

当然、真面目に申告しようとする納税者のモチベーションはヘロヘロだ。

「バレてないからオイラも納めるのヤ~メた」と考える人がいてもおかしくない。むしろ、そう思うのが当然だろう。

この首相、以前にも株譲渡に関する税金の無申告がすっぱ抜かれた。こうも税金に関してフシダラな総理大臣は歴史的にも珍しいのではないか。

母親からの贈与は判明しているだけで12億円を超える。慌てて納めた贈与税は6億円にもなる。

無申告加算税や延滞税を払う総理大臣って実に不思議。罰則的加算税を納めたって貰ったお金の半分はフトコロに入ったわけだから、なんだかな~という感覚は否めない。

マスコミの論調もどことなく一件落着ムードだが、常識的に考えて時効になる以前の贈与はどうだったんだという疑問は残る。

母親からの資金贈与は2002年からという話になっているようだが、これにしても鳩山首相サイドがそう言ってるだけの話。

首相が政界入りしたのは1986年。資金贈与開始がいつからだったかによって、“逃げ切った税金”は途方もない金額になる。

なにしろ毎月1500万円だ。年間1億8千万円。10年で18億円。そのぐらい巨額な資金が無税で贈与されていた可能性が強い。そう解釈するのが自然だ。

ついでに資金使途は曖昧なまま。これまでの政治活動を脱税マネーが支えたのなら、首相ポストは脱税マネーで掴んだというハチャメチャな話。

年末、「朝まで生テレビ」を見ていたら、田原総一朗が興味深いことを言っていた。趣旨は「鳩山親子の資金提供問題はちっとも視聴率が取れない」というもの。

まさに大手メディアの感覚を代弁している。世間の受け止め方は「お金持ち一族がウマいことやった話」といった程度。贈収賄事件のように批判のマグマが湧き出るような気配はない。

贈与税というテーマ自体がピンと来ないのが原因だろう。これが大衆感覚に刺さるような題材だったらもの凄い怨嗟の声が上がる。

「鳩山首相だけが酒税をちょろまかして缶ビール1本100円で買えていた」とか「鳩山首相だけ消費税をごまかして、何でもかんでも5%安く買っていた」みたいな話だったら、メディアはもっとバッシングを続ける。

贈与税という馴染みのないジャンルで、ウン十億という馴染みのない金額の話だから非現実的すぎて大衆心理がポカンとしちゃっているのかも知れない。

ちなみに、年末ジャンボを9千円分も買ったのに900円しか当たらなかった私だ。毎年宝くじが当たるような首相の贈与話が気持ち悪くて仕方ない。

単なるネタミではない。事実上、脱税が簡単に通用してしまっている現実が許し難い。

「お金もらってたのは知りませんでした。バレた以上は税金払いますね」。

法治国家とは言えないこんなアホらしい現実を検察首脳はどう思っているのだろう。

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