2009年6月16日火曜日

銀座 一宝 交詢ビル

銀座をぶらつくことが多い割には、一種のランドマークである交詢ビルには足を踏み入れたことがなかった。

隠れ家的な路地の店とか、雑居ビルの地下とか上階の店が好みなので、あまりそそられない。

とはいえ、赤坂離宮が入っていたり、私の実家・荻窪にあった韓国料理屋が進出したことは知っている。やたらと高いトンカツ屋にも行ってみたいと思っていたが機会が無かった。

先日いまさらながら初訪問。行った店は、上に書いたどれでもなく、てんぷら屋さん。「一宝」という店だ。

最近、てんぷらモードのスイッチが入ることが多い。胃もたれしない、胸焼けしないてんぷらがあると聞けば行ってみたくなる。

「一宝」は関西の名店だそうで、やたらと軽いてんぷらを出すことが特徴だと聞いた。行かねばなるまい。江戸っ子としては、最近の関西絶対みたいな食文化の風潮が気に入らないが、胸焼けが持病なのでおとなしく関西系の軍門に下るべきと判断。

平日のまだ早めの時間、お客さんはいない。シックな高級感がかえって寂しげ。交詢ビル全体にそんな空気が漂っていた。はやりすたりの影響をモロに受けるこの手のランドマーク的テナントレストランの宿命だろうか。

関西系をことさら実感させるかのように、ちょろっとした前菜に続いて、お吸い物が登場。ハモの吸い物だ。てんぷら気分の私にとって、あっさり系のお吸い物などお呼びじゃなかったが、さすがに美味しい。
滋味あふれる味。文句なし。ズビズビと飲み干す。

てんぷらは確かにやたらと軽かった。油自体が違うらしい。衣をでっぷりまとっているわけでなく、はかなげな軽やかさ。死ぬほど食べても胸焼けしないで済みそうだ。

正直、10年若かったら物足りなく感じたと思う。浅草あたりの真っ黒ベチャベチャてんぷらは論外だとしても、生粋の東京人にとっては、軽すぎるのも違和感がある。この辺は好みの問題だろう。

逆にこの店のてんぷらをしょっちゅう食べたら、他の店のてんぷらがクドく感じるのだろう。逆流性食道炎に加え、黒酢の摂取し過ぎで胸焼け大将の私にとっては有難いてんぷらと言えよう。

代表選手である海老はノーマルで一本、その後、シソ巻きで一本、そして、食事後半に再びノーマルで一本出てくる。このパターンは結構嬉しい。

写真は稚鮎のてんぷら。衣が薄いので素材の味が良く分かる。出てきた食材はさすがにアレレというものは無かった。

私が気に入ったのはコーンのてんぷら。ほぐしたコーンをさらっとあげている。天つゆをベチャベチャつけて食べたがる私だが、これだけは塩で食べてみた。スナック菓子みたいで美味しかった。

宗教上の理由で野菜を遠慮している私は、他の野菜を2品ばかりキャンセルして、コーンを3回も出してもらった。コーンは果物?だからOKだ。

途中、小ぶりのまんじゅうが口直しのてんぷらとして登場。ほくほくの揚げ饅頭だ。一番美味しかったかも・・・。

最後のてん茶も軽さは変わらず。だし汁ではなくホントのお茶でお茶漬けだ。ワサビが多めに用意され実にいい塩梅で味わえる。

問題はアルコールの値付け。あれじゃダメ。どうでもいい焼酎がグラス売りで2千円とか3千円。銀座値段といってもやり過ぎだろう。その部分だけで充分店の評価を下げちゃうことにもなる。

結局のところ、胃腸や食道に問題があって、アルコールも控えなきゃいけない人が、それでもてんぷらを食べたいときには最適な店だろう。

あんまりそんな人はいないか・・。

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