2009年4月23日木曜日

巻き寿司

先日、とあるお寿司屋さんで目撃したおじさん。食べる物は旬のものか古くからの古典的なネタばかり。コハダ、昆布締め、かんぴょう、赤身、煮ダコあたり。余計なつまみも食べずに淡々と食べて去っていった。

ダラダラとお寿司屋さんで長っ尻を決め込む私のような無粋な人間とは大違いだ。なかなかイキな姿だったが、単にお酒が飲めない体質で時間がなかっただけかもしれない。

お寿司屋さんでの過ごし方は、とかくモノの本などでアレコレ書かれているが、他人様と店に迷惑をかけなければそれでいいのだろう。常識で考えればたいていの判断はできそうなものだ。

多少顔見知りになった店でも、混んでいる時に邪道な注文をするのはNGだろうし、中途半端な知識でプロを相手にウンチクを言うのも恥ずかしい話。

とはいえ、常連ヅラしたい人間の悲しいサガとアルコールの魔の手がこんがらがって、結構ダメダメな客になってしまうことは多い。私も同様に、何かのきっかけでスイッチが入ると変にはしゃいだりして、翌日は一人反省する。

先日も、混んでいる店で美味そうなアジが目に入った。黙って刺身か握りを食べればいいのにアジフライを頼んでしまった。おまけに中濃ソースも用意してもらった。ちょっと反省。

お寿司屋さんの面白さって、そこにあるものを好きなペースで好きな量だけ注文できる点だ。こんな料理は世界でも稀だろう。お客にとっては天国だ。自分勝手に料理を組立てられるわけだから贅沢の極みだ。

食べたくもない食材でお仕着せのコース料理を食べるよりも快適な時間が過ごせる。そう考えると安く済むはずがない。多少の出費はその贅沢に対する対価でもあるわけだ。

食べ方にしてもそうだ。醤油の代わりに塩やポン酢も頼める。生のままではなく炙ってもらったり、煮物、焼きものも新鮮なネタで作ってくれるわけだから、ついつい余計な注文をしてしまう。

先日、穴きゅうならぬ、穴タクを注文した。キュウリの代わりにタクアンを穴子と一緒に巻いてもらう一品だ。キュウリの青臭さよりタクアンの塩味が穴子とマッチするので私の好物のひとつだ。

ところが、この日は、タクアンの代わりに奈良漬を勧められた。うな重につきものの奈良漬だ。確かにタレ味の穴子に合わないはずがない。“穴ナラ巻”、実に美味。食事の後半に食べるといい終盤戦を迎えられる。

2枚目の写真は、スーパーゴマかっぱ巻き。シメにオススメだと思うのだが、今までススメた人達からあまり高い評価を得ないのが問題。

要はありえないぐらいの量のゴマをカッパ巻きに入れてもらうだけ。板前さんが首をひねるぐらい異常にゴマを投入してもらう点がポイント。醤油皿の上にボロボロとゴマがこぼれ出るぐらいがいい。

食感はモソモソする。ごわごわするような感じもあるので、万人受けしないのだろう。でも私は、ソーメンのつけだれにもすりゴマをじゃぶじゃぶ投入するゴマ好きなので、寿司飯とゴマとワサビのコラボレーションにウットリする。

巻き物は、たしかに極端な組み合わせでなければ、いろんな即興品が誕生する。ちらし寿司に使う甘く煮込んだ椎茸だけで巻いてもらってみてもデザートみたいな一品になるし、大葉やシソとゴマだけで巻物にしてもサッパリする。

ネギトロ嫌いのために生まれたようなトロタク巻きも、すっかりポピュラーになったが、ひと昔前は、そんな名前は聞いたことがなかった。巻き物こそ日々全国各地で進化し続けているのかも知れない。

思えば、太巻きなんて、これでもかとばかりに具材がミックスされているのだから、手巻き寿司のネタもなんでもありなのだろう。

近いうちに空いている時を見計らって、“変り巻き”をあれこれと開発してみたいと思う。

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