2009年4月1日水曜日

湯河原 白雲荘

いつの日かセミリタイアしたら住みたいと思っている場所が小田原と湯河原。小田原は、新幹線で東京駅まで30分で行けるのに、海は近い、魚は旨い、温泉もやたらと近い、適度に繁華街もある点が魅力。湯河原は、温泉と豊かな自然がある割には、東京にも近い点が魅力だ。

そんなことを考えながら湯河原に行ってきた。やはり近い。熱海まで新幹線でひとっ飛びして、在来線で一駅5分。私の好きな熱海とは趣を変えたしっぽり系の宿が多い。

今回訪ねたのは、「万葉の里・白雲荘」。それなりに有名な老舗で、ゴージャスな貸切風呂で人気がある。

個人的に古めかしい宿が結構好きなので、玄関先からロビーあたりの鄙びた風情にホッとする。スタッフは、くたびれたお婆さんしか見かけなかったが、それも趣と思えば悪くない。

数年前の改装で露天風呂付きの部屋が用意されたらしいが、改装後の部屋以外は、ただ古めかしいという評判も聞いたので、露天付きの部屋にする。

日本中にすごい勢いで増殖する部屋付露天風呂だが、宿によっては温泉を引いていないところも多い。温泉旅館で湧かし湯に入っても仕方ないが、その点、こちらの宿は、部屋付露天にも源泉を引いており、柔らかいお湯に入り放題。

浴槽のサイズも充分に足がのばせるし、景色も正しく山と川。川のせせらぎがBGMになって極楽気分が味わえる。

貸切風呂は、宿泊者は1回分は無料。チェックインの際に好きな時間を指定する。玄関を出て徒歩30秒ほどの別棟が丸ごと使われていて余裕の大きさ。大型の半露天。大ぶりの浴槽が二つ、それぞれジェット付き。休憩用のテーブルや椅子もあって快適。川沿いの景色と音が癒し効果を発揮する。

湯河原で高級旅館を名乗っている以上、食事の心配は無用だろうが、ここもキッチリ正統な食べ物を出してくれた。


前菜も丁寧な味付けで、稚鮎の甘露煮とか竹の子なんかも素材の味が生きていて満足。刺身のマグロも上等かつ正しい味わいだったし、サザエや伊勢エビも大喜びできる鮮度で束の間の幸福感に浸れる。

全体に大げさでこれみよがしの料理なんかは出てこないが、逆にそれが正解だと思わせる品々が順々に運ばれてくる。


西京味噌風味の牛タンも真っ当な和食の味付けで、タラバの揚げ物も熱いまま運ばれてきた。

一番印象に残ったのが、和風ブイヤベース。一人用の小鍋仕立てで熱々にして味わうのだが、具材が贅沢。カキやホタテ、伊勢エビなどが煮込まれるのだから旨味がブリブリ放出されたトマトベースのスープは単純明快に旨い。

締めのご飯は小どんぶりサイズのちらし寿司が用意される。イヤなものがひとつもなかったから全体に高水準だろう。

朝食も奇をてらったものがないのに品数豊富で、いとも簡単に後悔するほど食べ過ぎることができる。有難いサービスが卵料理と干物の種類を前日の晩に選べる点。これってありそうでないサービスだと思う。

イカ刺し、アジ刺し、佃煮類、おひたし類それぞれが旨い。伊勢エビの味噌汁、温泉タマゴ、あったかい干物などと続き、これでご飯一膳で終われる人はいないだろう。太りたい人にはもってこいだ。

華やかさや高揚感みたいな感覚とは違うが、気負いなくゆったりと過ごせる旅館だった。そういう路線が好きな人にはオススメできる。

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