2009年2月26日木曜日

豚しゃぶ


豚しゃぶにはソバつゆ。5年ほど前から実践している。鹿児島に行った際、地元の黒豚料理屋で教わった“鉄則”だ。

わが家で豚しゃぶをする時は、昆布でダシをとったしゃぶしゃぶスープと、やたらめったら大量に用意する薬味のネギとソバつゆが必需品。私の変なこだわりは、ここで使うソバつゆは安いものに限るという点だ。

そこらへんで売っている「濃縮タイプのつゆの素」が一番。これをしゃぶしゃぶスープで割って、つけだれが見えないほどの大量の刻みネギを投入して楽しむ。絶対に旨い。

そんな豚しゃぶを定番にしている私が、わざわざ銀座で豚しゃぶを食べてみた。「ソバつゆと大量のネギ」がウリだという部分に興味をそそられた。

店の名前は「羅豚」。日航ホテルの地下に本店があり、御門通りを天ぷらの天国の方に行ったところに「はなれ」がある。

静かな方がいいので、ホステスさんとの同伴合流のメッカと化している日航ホテルに背を向けて、はなれを訪ねた。

「羅豚」と書いて「ラブ」と読ませる趣味の悪さはご愛敬だが、店の雰囲気は今どきの高級居酒屋っぽい感じではない。ちゃんとしている。仰々しくないけど安っぽくもなく、適度に使い勝手が良さそうな雰囲気。

黒豚と有機野菜がウリらしい。しゃぶしゃぶだけでなくアレコレ注文してみた。

「黒豚と有機玉葱のバーベキュー」。普通に美味しい。ただ、ソースが沖縄の安いステーキハウス風でちょっとうっとおしい。

季節のオススメメニューにあった焼き牡蠣も注文。食べそびれたが普通にまともそうだった。

芋焼酎のつまみに頼んでみたのが、黒豚ロースカツ。これも普通に美味しい。問題なし。まともなトンカツだ。豚が食べたい気分なら、他にも豚メニューがいっぱいあるので楽しめそうだ。

肝心の豚しゃぶ。結構これがポイント高し!。ネギが効果的に使われている点がいい感じ。画像のように、まさに「これでもかっ」ってぐらい、細切りされたネギが圧倒的な物量作戦で鍋を支配する。

豚しゃぶにはネギが基本姿勢の私には願ったりかなったりだ。これだけのネギを自宅で用意するのはかなり大変だろう。

たかが豚しゃぶごときで外食するのをためらうような人でも、このネギ作戦には降参だろう。外食じゃなければこんなネギ三昧は無理だろう。

豚しゃぶなんてものは、上等な肉屋で上等な肉を買って、家で飽きるほど食べるものだと思っていた私も、正直、してやられたって感じだ。ネギ鍋の黒豚和えといっても通用するぐらいネギがいい感じ。

ネギと並ぶ基本である「つけだれはソバつゆ」もこの店の看板。ところが、このソバつゆが私には今ひとつ。なんかイメージが違う。

生粋の東京人としては、もっと黒くてドカンとした味こそがソバつゆのイメージなのだが、この店は微妙に路線が違う。

例えるなら、京都で出てくる温かいうどんに使われている淡い琥珀色のお吸い物系。味が薄いわけではないが、醤油ガッツリの黒いソバつゆが好きな私にはピンとこない。

どうにも腑に落ちないので、別注でポン酢をもらってみた。でもポン酢で食べるよりは、中途半端なソバつゆの方がまだ旨いことに気付き、琥珀色ソバつゆに舞い戻る。

肝心の豚肉はバラとロースが半々。黒豚表示は偽装でないようで、ちゃんと健康な豚の味がする。素直に美味しい。

特筆すべきはやはりネギの存在。鍋一面にふかふかの絨毯のように敷き詰められているため、しゃぶしゃぶ肉を取り上げる際には大量のネギを道連れにできる。これが旨い。

おまけにネギ絨毯の効能は、味だけでなく、アクが出にくくなる点にもあるらしい。

肉に飽きたらネギだけをざっくり引上げてソバつゆとともに味わうのも一興。時間とともに煮込まれた状態になったネギもなかなか美味。

「豚、豚、ネギ」とか「豚、ネギ、ネギ」とか、「ネギ、ネギ、豚、豚」とか順番を変えると結構飽きない。

ソバつゆの味を差引いてもまた来たいと思えるレベルだった。

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