2009年1月6日火曜日

山陰カニ旅行

山陰へのカニ旅行2日目。泊まった皆生温泉の湯は塩水系の泉質。入浴後、肌が温泉でコーティングされたような感じで、いつまでもポカポカ。結構いい感じ。源泉温度が高いせいで、旅館の湯は加水してある。

泊まった宿の東光園、日帰り入浴した旅館・華水亭の湯も悪くなかったが、意表を突かれたのが、皆生の外れにある日帰り入浴施設の温泉だ。

その名も「オーシャン」。聞くからに安っぽい名前だ。健康ランド風の施設だが、海沿いに巨大な露天風呂もあり、しっかりサウナもあって穴場。ここの温泉が、今回の皆生温泉の中で一番濃かったのが嬉しい誤算。サウナのためだけに行ったようなものだったが、露天風呂のトロリとした泉質が抜群だった。

さてさて2日目の話。夜もカニ攻めを考えていたので、適度に体力を消耗させて空腹バリバリにしておくことが、この日の私の使命。散歩を徹底しようと計画。米子市内をうろついてもしょうがないので、急きょ、ガイドブックで勉強し、行先を決定。

米子から特急でわずか30分の倉吉に向かう。昔ながらの白壁土蔵の町並みが残っているそうなので散歩にはもってこい。おまけにそこから30分ほど奥まったところには山陰の名湯・三朝(みささ)温泉もある。米子駅から特急に乗り込み、駅で売っていた島根の銘菓「若草」と温かいお茶で、おじいさんのようにくつろぎながら倉吉に向かう。

倉吉では風情のある街を散策し、昼飯はどうでもいい店でどうでもいい手打ち蕎麦で済ませた。すべて夜のためだ。

足も疲れた頃、タクシーを拾って三朝温泉に向かう。山あいの鄙びた一角に温泉宿が集まっている。古くから不老長寿の湯として人気の温泉地だ。どこの旅館も日帰り入浴ができるらしく、今回は評判の良い老舗・「依山楼岩崎」を選んだ。

午後早めの時間帯だけあって、宿泊客はいない。ほぼ貸切状態で温泉を満喫。世界有数のラジウム含有量を誇るここのお湯は、ラジウムの気化でラドンが発生し、呼吸によって取り込まれたラドンが免疫力を格段に向上させるらしい。

ラジウムもラドンもなんだか知らないが、そういうことらしい。ラドンをいっぱい吸い込めるミストサウナ室のような場所で長時間過ごしてみた。人がいないせいで大きな声でハマショーの名曲をうなった。

このお陰で私の肺はラドンを相当摂取したようで、その後、気分爽快、身体は軽やかになった。わずかな時間しか三朝温泉にはいなかったが、温泉効果は実感できた。

入浴後、ローカルバスで倉吉に戻り、特急で米子に戻る。この日の宿は皆生温泉の「皆生シーサイドホテル」。夕食の付かない宿泊プランで広めのシングルルームを予約した。

シングルといえば、たいてい圧迫感があって困るが、このホテルは適度にスペースがあり、ベッドも大きめ。何より海っぺりに建っているため、ベランダの向こうは遮ることのない景色。穴場だろう。

またまた温泉に浸かってから米子の街に出る。目星を付けておいた料理屋でカニを攻める。

店の名は「味楽」。居酒屋と料理屋の中間ぐらいの雰囲気。カウンター席の端を陣取って店主とカニ攻めについて相談。便利なことにこちらの店では、この時期、松葉ガニを定価で一杯売りしてくれる。おかげで、一杯は茹でガニ、もう一杯は半分を刺身、半分を焼ガニで食べたいという私の希望は、ごくスンナリと通用した。

カニを待つ間、刺身を盛り合わせてもらった。カニの陰に隠れてしまいがちだが、こっち方面の魚はさすがに旨い。白身系の刺身がとくに味が濃く甘い。バッチリ。これだけを目的に旅行してもいいぐらいだ。

さてさてカニ刺し登場。タグ付きのカニではないが、まったく遜色のないレベル。甘い。本来なら、焼くが茹でるかしたほうがカニの旨味が引き出されるが、やはり、この時期には、ついカニ刺しも欲しくなる。

茹でガニ登場。ミソもしっかり。幸せ。バンザイ。カニの冥福を祈る。包丁の入っていない細い足の先っぽまで、噛みついて砕きながら中味をすする。ヤッホーって感じだ。

焼ガニがまた美味。茹でガニとはひと味違う香り高い味わい。それにしてもカニの姿を見るにつれ、アイツは絶対に自分が旨いことを知っているのだと思う。あんなにいかめしい姿形でハサミまでつけて全身を鎧で覆っているわけだから、確信犯だろう。

包丁とカニフォークなどという天敵が地上に存在するとは知らなかったヤツらの冥福を改めて祈りたい。

焼ガニとセットで出てくる甲羅焼きがカニ攻めのハイライトだ。上等なカニのミソは、珍味の王様だと思う。謹んで味わい尽くす。食べ終わった甲羅には、熱々にしてもらった燗酒を注いで甲羅酒。2日続けてもちっとも飽きない。3日でも4日でも飽きないと思う。バンザイ。

合間には酒の肴としてイカの沖漬けを注文。これがまたすこぶる美味。鮮度抜群の漁師料理的な風情で、やたらと酒に合う。こういう浮気みたいなひと口、ふた口がカニ攻めの大事なポイント。カニに舞い戻った時にカニの偉大さを改めて実感できて嬉しさが倍増する

前日は、カニすき鍋が出てきて最後に雑炊でしめたが、この日は、茹でガニ、焼ガニを少しづつ残しておいて、白ご飯をもらってぶっかけご飯にしてみた。少しだけイカの沖漬けもまぶして、かっ込んでみる。単純明快に幸せが口の中に広がる。これだけで、その年一年が素晴らしい年だったように錯覚する。われながら単純な思考に驚く。

ズワイガニといえば、越前や橋立方面の地名を冠したブランドガニのほか、兵庫でも香住、間人エリアでは、やはり地名がブランドになっている。鳥取では、松葉ガニという呼び名こそあるものの、他のエリアほどブランド化の波は押し寄せておらず、手頃な値段で美味しくむさぼれる。

結局、前日とこの日の夕食で松葉ガニを5杯も食べてしまった。二食で5杯。これってかなり幸せだが、お値段的には大したことはない。鳥取バンザイって感じだ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

三朝温泉といやぁ癌に効果のあるといわれる温泉ですな。
それにしてもこの蟹三昧っぷり。裏山Cです。
By:Coyote

富豪記者 さんのコメント...

コメント有り難うございます。カニは北陸で人生観が変わるぐらいの経験をしてから、ついつい食べに行っちゃいますが、鳥取は、北陸あたりよりカニがリーズナブル。効能の良さげな温泉もあるし、カニ好きには穴場です!