2008年1月28日月曜日

水中写真の楽しみ


最近ご無沙汰しているため水中を覗きたい衝動にやたらと駆られる。二十歳の頃に始めたダイビングが、あまり面白いと感じなかったせいで始めたのが水中写真撮影。ダイビング中の暇つぶしくらいのノリで始めた。

陸では写真撮影にさほど興味がなかったせいで、写真の初歩的な知識は魚を撮るために覚えた。露出とか絞りとかフルオートカメラ全盛時代に、あれこれ覚えるのはおっくうだったが、水中という特殊環境はさすがにフルオートで撮るには限界があり、ちょっと勉強した。

簡易水中カメラから始まり、いろいろ試した。ニコンのF4を水中専用ケース(ハウジングといいます)に入れて得意になっていたこともあったが、総重量が重すぎで、ましてや私のレベルでは機能も使いこなせず、いまは、少し小型のF90という機種を2台同時に持って潜るスタイルだ。

デジカメ全盛時代という現状が何より辛い。F90程度の大きさの一眼レフも、気づけばデジタルカメラが主流になってきた。正直欲しい。でも簡単に変えられない。水中に持っていくためのハウジングは、カメラの機種ごとに作られているのが基本で、カメラ以上に高い。2台まとめて付属の細かい機器まで買い直す気になれない。

あいも変わらず、フィルム版の一眼レフで水中撮影する言い訳は、「現像するまでどんな出来だか分からない方がドキドキだ」という屁理屈しかない。10~20回シャッター押して1枚でもお気に入りがあれば良しというムダ撃ちが当然の水中写真の世界。そう考えると本当は絶対にデジタル機を使うべきだが、いつまでも旧式にこだわってしまう。

だいたい、水中撮影ではフィルムチェンジが出来ないわけだから、デジタルカメラでのんびり撮影しているダイバーを見るとうらやましい。にもかかわらず「限られたフィルムしかないから燃える」などと強がってしまう自分が悲しい。

でも不思議なもので、強がりばかりではなく、限られたフィルムしかないと思うからこそ集中力が増すのも事実だ。いつも同時に2台以上水中に持ち込んで撮影しているが、たまに装着するレンズの都合などで1台しか持たずに潜ることがある。結構そういうときに会心の一枚をものにすることがある。

複数台のカメラセットを用意する理由は、レンズの問題。フィルムと同様、カメラ自体を専用ハウジングに入れて潜るわけだから、水中でレンズ交換はできない。そのため、広角レンズと接写専用レンズをそれぞれつけたカメラを同時に持っていくことになる。

極上の海を持つフィリピンの離島あたりで、撮影対象が多ければ、レンズを超広角(16ミリフィッシュアイ)、広角系ズーム(24~50ミリ程度)、接写(60ミリもしくは105ミリマクロ)というように3台同時に水中に持っていく。もちろん、ひとりで3台も持っていったら死んじゃうので、ガイドさんをチャーターして持ってもらう。水中撮影には割と大型の水中用ストロボが必需品で、1台につき2灯ストロボをセットすることも多い。水中では重力の関係で小指で持ち上げられる重さだが、陸上では1セットあたり5キロ以上になるため、ガイドさんのヘルプは不可欠だ。

たまに困るのがカメラを持たせているガイドさんが退屈しのぎにシャッターを押すこと。広角レンズや接写レンズだとファインダーから見える世界が独特なため、ガイドさんはたいてい暇つぶしにファインダーを覗いている。わざとなのか、間違えて押すのかよく分からないが数枚撮影されちゃっていることがある。たぶんわざとだろう。一応魚が映ってたりして、帰国して現像したあとにビックリする。

水中撮影の話は、珍談奇談がいろいろあるので、あらためて書いてみたい。

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