2007年12月17日月曜日

力のおでん

先日このブログで書いた「おぐ羅」もそうだが、おでん屋さんは冬場はさすがに混んでいて、時間をずらしていかないと席がない。銀座7丁目の「力」も同様。ギンザギンザした通りにポツンと構える旅館のような一軒家。中は古民家の佇まいでレトロ調。とはいえ、エセ古民家風という感じではなく、本物の古さが醸し出す鄙びた感じが気持ちいい。

カウンターの中でおでんを引っくり返している板前さんはきちんとネクタイを締めて、ひたすら無言。あからさまに元気バリバリでやたらと愛想を振りまかれるより、かえって落ち着く。店内を動き回っている旅館の仲居さんのようなおばちゃん連中が多少騒々しい印象なので、ちょうど良いバランスかもしれない。

おでんは、薄口ながら旨みがしっかり感じられて沢山食べられる。他の銀座のおでん屋さん同様、つまみ類も多数用意され、高めの価格設定ながら、相応のレベル。

この日は、おでん以外に力風アジのたたきと白魚のかき揚げ、牛すじの土手焼をオーダー。炙った〆鯵に大量の大根おろしとモミジおろしが添えられており、燗酒との相性抜群。かき揚げもベチャつかずサクサク感が強く、あっさりしたもの中心のおでん屋さんの中ではアクセントになる。土手焼はこの店の名物。串に刺さった牛すじは、おでんではなく、味噌だれをタップリまとって出てくる。これは焼酎向きだ。

おでんは、定番の他に、めかぶやトマトがおいしい。健康になったような気持ちになる。岩のり餅やつみれもいい。結局みんな美味しい。

四の五の言っても冬場のおでんは美味しい。みすぼらしい店だと侘びしいが、銀座のやす幸、おぐ羅、そしてこの力あたりなら、一般的に連想されるおでん屋さんとは一線を画した雰囲気が楽しめる。泥酔オヤジ出現率も低く、香水プンプンお姉さんも少ない。極めて真っ当だ。この手の店が銀座にしかないところが残念。

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