2007年12月15日土曜日

橋下弁護士と今年の漢字

テレビで人気の橋下徹弁護士が大阪府知事選に出馬する。これまで「2万パーセントない」と出馬を否定しながら結局はご承知の通り。記者会見では、それまでの発言を「ウソではない」と断言した。細かな話かも知れないが、こういう発言を平気でする精神性に今の時代の特徴的な臭いを感じた。

出馬しないと否定し続けてきた理由はテレビ出演との絡みだそうだ。それはそれで仕方ないし、彼なりの誠意の見せ方ともいえる。ただ、出馬を公にできなかった事情を「解除条件付き契約」とか「技巧的ロジック」と平然かつ冷静に弁明する姿には違和感を覚える。

素直に「これこれこういう事情でウソついてました。ごめんなさい」といえない精神性は、やはり現代社会の縮図だ。昨今あらゆる分野で屁理屈や都合の良い言い逃ればかり。グニャグニャした説明を機関銃のように繰り返して、その場を丸く収めようとする空気が蔓延している。

橋下氏も結局は「ウソといえばウソだった」とトーンダウンしたが、この表現自体もシブシブ感たっぷりでなんとも微妙。事情はどうあれ単純明快なウソであり、ウソはウソ。屁理屈やくだらない言い逃れをするより、「結果的に嘘をついたことをお詫びします」とスパッと会見冒頭からかませば、きっと10万票ぐらい稼げたはずだ。

ちなみに、以前、橋下氏の申告もれが報道されたことがあった。重加算税案件でもなく、通常の税務調査で生じる、いわゆる「見解の相違」レベルの話だったが、同氏は、自らの主張や報道されたこと自体を自身のブログで、かなり熱く取り上げていた。元々、あれこれ言いたがるタイプなのだろうが、弁護士としての性からか、あくまで自分の理屈を押し通そうとする性分が相当強いようだ。

ところで、謙虚な人、徳を積んでいる人なら、謝るべき点は素直に謝る。鼻っ柱とかプライドとか自信の有る無しに関わらず、何が悪いことかを知っていれば、どんなに名声や地位があろうと謝る行為から逃げない。そういう人こそ品格ある大人と呼ぶ。

あらゆる分野で偽装やらイカサマが大流行だ。不祥事が発覚した企業の釈明会見も人を喰ったような弁解や言い訳にもならない詭弁が横行している。潔さという感性が欠如している。

毎年恒例の「今年の漢字」。予想通り「偽」が選ばれた。「嘘」、「疑」なども上位候補だったことも淋しい限り。だましたり、あざむいたり、これらの行為の蔓延は深刻。

せめて自分は「真」、「正」、そして「潔」という漢字をモットーにしていきたい。

言うは易し、行うは・・・。

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