2007年12月12日水曜日

焼鳥バンザイ


先日このブログで書いた「おぐ羅」もそうだが、例のミシュランガイドにそもそも載ってないカテゴリーがある。おでんや焼鳥がそれ。

おでんや焼鳥というジャンルは日本の飲食店において絶対に無視できない存在だ。今回は焼鳥について書いてみたい。

東京中、そこそこの値段を出せばおいしい焼鳥屋はいくらでも見つかる。そこそこの値段というのがクセモノだが、こればっかりは正直言って値段と味が比例することは間違いない。

確かに安くておいしい焼鳥屋もたくさんあるが、たいてい馬鹿みたいに混んでたり、ひとり当たりの占有スペースが窮屈すぎたり、居心地という点で劣ることが多い。

ところで、たいていの人が自分の贔屓の焼鳥屋さんをもっている。不思議なもので、その基本は会社のそばや自宅の近所など、「わざわざ感」を感じさせない所が多い。

まあ焼鳥自体が、オヤジっぽい存在だし、めかし込んで食べに行くようなものではないので、たいていの人が「近所だから、つい」とか「通り道だから・・・」みたいな理由で店を選んでいるような気がする。

「わざわざ」じゃなしに行く店がうまいととても幸せだ。そういう意味では焼鳥の喜びは、「ご近所」とか「そこらへん」に転がっている。

私にとっての「そこらへん」が豊島区内某所にある焼鳥屋「T」。こんなブログに実名を出したところで混雑するはずもないが、イニシャルにすると格好いい気がするので「T」だ。

店構えはとてもつまらない。ひと昔前のモダン居酒屋が疲れちゃったみたいな雰囲気。店主は優しく親しみやすい人だが、見た目が丸坊主で独特な風貌。初めて店を訪ねたときは、間違いなくハズレだなと感じたが、その予想は嬉しい方に裏切られ、いまでは結構頻繁にでかける。

レバーが絶品。焼いても極上だが、ナマがたまらなく旨い。このレバ刺し、いつも必ずあるのにメニューには「限定品」との表示。理由を尋ねると店主が言った。

「本当は出しちゃいけないんだよ、保健所が入ったらヤバイんで」。

なんともすごい理由だ。客に出しちゃいけないものをたまたま出しちゃったと弁明するために限定品とうたっているわけだ。

「本当は出しちゃいけないレバ刺し」はとろけるように旨い。牛のレバ刺しより軽く、例えるなら、小ぶりのふぐの白子みたいな感じ。ヤバイもの、危なそうなものほどおいしく感じるものだが、この逸品はまさにそれ。薬味はわさびとショウガとニンニクおろしを好みに応じて醤油に溶かして食べる。焼酎にやたらと合う。

このレバーを使ったもうひとつのお気に入りメニューが、タタキポン酢(写真)。生で食べられるレバーを軽く炭火で炙って、ポン酢と薬味のネギたっぷりで味わう。レア状態だが、一応火が入っているため、体調が悪いときでもちょっと安心。写真ではやたらまずそうだが、実際は、プリッ、トロッという見た目と食感で衝撃的なおいしさ。これまた焼酎にやたらと合う。

そのほかにも、岩手の方から直送される上質な鶏を使った酒肴があれこれ楽しめる。

焼物は、ハツ、砂肝、せせりなどは、特別ジューシーで正しい鶏の味が口に広がる。銀座あたりなら1本で500円ぐらい取られてもおかしくない水準だが、この店では130円とか160円とかそんな感じ。

これを書いているだけでまた行きたくなった。

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