2007年12月3日月曜日

銀座の夜

銀座8丁目、クラブがたくさん入居する有名雑居ビルに割烹「T」がある。もともと7丁目でクラブを経営するママさんが出した店で、実にしっぽりとした雰囲気の店だ。

都内の老舗料理店も経営に絡んでおり、料理のレベルは実にまとも。クラブママさんの副業的出店とは言えないレベル。しっかり出汁がとられた関東の味付けだが、関西風の食材と盛りつけも楽しめて、いい感じ。

カウンター中心でテーブル席が少しと小さな座敷もある。ポイントは着物姿の女性の接客。向島芸者出身のママさんの他に2名の綺麗どころがカウンターを挟んでソツなく相手をしてくれる。

先日訪ねたときは、柿と豆類の白あえ、白身の刺身が3種類、茄子の煮浸し、聖護院かぶらの蒸し物と鴨肉あえ、鰆の味噌焼を堪能。健康的かつ滋味。

一人でカウンターに座っていると、目の前に立つ綺麗どころに食事をジーっと眺められている感じでちょっと落ち着かないこともある。意味もなく行儀よく箸を上げ下げしたり・・・。まあ自分の所作を見つめ直すことも時には必要かと変に納得したりする。

居酒屋のカウンターでだらけてばかりいては、やはり男がすたるなどと自分に言い訳して凛とした空気と浮世離れした風情を楽しんだ。

続いて6丁目の「M」へ。銀座でも勝ち組として有名。その秘密はホステスさんというより黒服連中の優秀さだと私は睨んでいる。

10年以上前に初めて行った。しばらくはぽつぽつ顔を出していたが、いつしか足が遠のいた。4~5年のブランクが空いて、ひょんなことで再訪、店に入った途端、ベテランの黒服氏がこちらの名前をしっかり覚えており、不義理な客を以前と変わらず案内してくれた。それ以来、この店の信奉者になってしまった。

割と大箱の店で、大人数の客も珍しくない。微妙な有名人(バブル紳士系とか政界の生臭い系)もよく見かけるが、総じて客層がしっかりしている。私などは一人か二人でしか行かないし、さほど頻繁に行くわけでもない。そんな客も厚遇してくれるからさすがだ。

銀座のクラブといっても、お客をファンクラブの会員かのように錯覚しているママさんが幅を利かせている店もあれば、極端にくだけ過ぎちゃって地方都市のスナック状態になっている店、素人感覚とか言ってプロとしての仕事を最初から放棄しているキャバクラもどきが結構多い。

同業者からも特別な目線で見られている「M」。銀座が銀座であることを私に実感させてくれる場所だ。

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