2007年11月27日火曜日

お国のために!?


もうすぐ年末調整の時期がやってくる。年末調整のお陰で大半の勤め人は税金の計算をしないで済む。一方で、年末調整で完結する仕組みが、わが国のホワイトカラーからタックスペイヤー意識を奪ったという指摘も根強い。

日本の税制の基本は「申告納税制度」。平たく言えば、自分の税金は自ら申告することで精算しますということ。反対語は「賦課課税制度」。固定資産税のようにお上が決めた金額を支払う仕組みだ。

実際上、大半の勤め人は自分の税金を「申告納税」といわれてもピンとこない。賦課課税的な感覚だろう。

世界中の国税庁長官が集まる国際会議で、日本の年末調整の仕組みが語られた際、他の国のトップ達から驚嘆と羨望が集まったそうだ。たいていの国は、毎月の給料から一定額を差し引く源泉徴収制度はあるものの、年末に最終集計して完結してしまう仕組みは日本独自のものだそうだ。

日本独自の制度である理由として、お上に従順な国民性があげられる。源泉徴収はもちろん、年末調整の作業は誰が行っているのか。言うまでもなく会社である。会社が社員の税金を事細かに計算し、納税を代行している。手数料もなく、「法律だから」という理由のみで、国の税収確保を業務としている。

作業を肩代わりしているのに、感謝もされずに、間違えれば罰せられる。国から見れば実に効率的な制度だ。

先日のブログで、戦前は高額納税者に対して貴族院議員という道が開かれていたと書いたが、この源泉徴収制度に関しても、戦前は常識的配慮があった。民間企業への委託作業という意味合いから、企業側に手数料が支払われていたことがあった。その後、GHQが、法律で規定している以上謝礼は不要という見解を出したことで消滅したらしい。

それでも、国税庁内部から「報いがないのはおかしい」という声が出て、昭和の一時期、「優良源泉徴収者表彰」という制度が設けられていた。結局定例化しなかったわけだが、やはり、民間企業に委託しているという構図は間違いないわけで、経営者からすれば、「感謝ぐらいしろ」と声を大にしたいところだ。

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