2007年11月20日火曜日

謎の整体師

ここしばらく腰痛が長引いて困っていた。普段、どこかが痛いときにかかる整体が今回はまるで効かなかった。この杉並区内の整体は、正直言って変な整体で、身体を引っ張ったり、折り曲げたりするようなことは全くしない。うつぶせか仰向けに寝させられたまま、奇妙な金属棒などで全身の波動か何かを探って、バランスの悪いところを見つけて、ちょこっとさすったり、周辺のツボを痛くない程度に押すぐらいで終了する。

何度通っても何をされているのか分からない。でも、実際に10年来不調だった足の膝裏の関節は一発で直ったし、以前行ったときには腰痛もすぐに回復した。理屈は分からないが、全身のバランスを整える秘策を施しているらしい。

今回の腰痛は、そこに4度も通っても一向に回復せず、整体師に「内臓系の重い病気かも」と脅されてほとほと困っていた。

一般の整形外科でレントゲンを撮影しても特別な異常はなく、ワラにもすがる思いで、人づてに紹介された新たな謎の整体師を訪ねた。

大田区某所の住宅地に謎の整体師はいた。御年80歳近く。やたらと施術前に己の勉強・修行経験を語るのが印象的だったが、要は気功、カイロ、理学療法すべてのいいトコ取りをオリジナルの技に高めたものらしい。

痛いこと、不快なことは一切しないのが特徴だそうで、実際に身体を曲げたり伸ばしたりする作業は僅かで、クライマックスは15分ほどふくらはぎに気を送られること。

仰向けに寝かされているため、足元でふくらはぎを掴まれていることは分かるが、微動だにしない様子に「ひょっとしてオジイチャン寝ちゃったのでは」と不安がよぎる。ところが5分ぐらいして、全身にジュワーッと奇妙な熱気というか何かが充満してくる不思議な感覚を覚え、やたらと気分が爽快になった。

施術後、かすみがちだった視界はやたらと開け、腰も軽くなってびっくり。3日ほどおいて再度整体してもらったら、すっかり快調に戻った。謎の整体師曰く、原因は「歯」とのこと。半年以上にわたって歯医者に通っている間に、首から上の神経系統が不調を興して腰痛を招いたらしい。

効き目があったから信じるしかない。

杉並区の謎の整体も大田区の謎の整体も、当然、医者ではなく、健康保険は使えない。
したがって合計でウン万円に上った今回の腰痛退治作戦費用は「医療費」にはならずに、いわゆる医療費控除の対象にならない。まったく役に立たない整形外科の診察と処方された薬なら医療費控除対象となるのだから、困ったものだ。

整体の世界って、この手の謎のテクニシャンがいっぱい存在するらしい。人体の神秘は一般的な西洋医学の対処療法的な取組みだけでは手に負えないのは確かなのだろう。
私が身をもって経験した2人の謎の整体師のところにも、患者として医師が結構くるらしい。

ところで、わけの分からないコンサルタントから定期的に話を聞くだけでも、その費用は会社の税務上、経費として認められる。その一方で、謎の整体師の費用を経費にすることは難しいのが現実だろう。定期的に身体の調子を整えてもらい頭がスッキリするのなら、世の経営者層にとっては経費に出来そうなものだが、税務署的見解では、ホワイトカラーの必要経費である給与所得控除がある以上、認められない公算が強い。

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