2007年11月7日水曜日

アマン


昨日少し触れたアマンリゾートについて書いてみたい。アジアを中心にリゾート展開するアマングループは、それまでにない徹底したハイエンドターゲット戦略で確固たる地位を築いた。

タイ・プーケット島のアマンプリ、インドネシア・バリ島のアマンダリなどの登場は、ホテルフリークをびっくりさせる出来事だった。

極端に宿にこだわりのない私としては、そうした動きを横目で見ていたが、大の南国好き、とくにバリ島への偏愛を自負する身としては、アマンの何たるかを覗いてみたいと思って、数年前にアマンダリを訪ねた。

バリのビーチエリアではない、高原エリア(ライステラスなどに囲まれている山側)にたたずむアマンダリは、拍子抜けするほど、これみよがしの装飾などはなく、エントランス付近も実に素っ気ない。予備知識がなければ、なんとも味気ない印象だろう。

リゾートに付きものの高揚感とかワクワク感とは一線を画し、シンプルな静寂が漂う。ベーシックな部屋の室料だけで、1泊7~8万円も取られる秘密はどこにあるのかとチョッピリ不安になる。

案内された部屋も特別な仕様があるわけではない。空間の広さ、天井の高さは充分だが、それだけで満足するわけにもいかない。

滞在中、アマンの人気の理由をなるべく探ろうと心掛けて過ごしたが、その結果は納得することばかり。味気なく感じていた部屋も、ベッドの質、枕の質、置かれている籐製ソファの座り心地など上質な素材に満ちていた。したがって眠りも深く、目覚めの心地良さは旅先であることを忘れるほど。

サービスの特徴のひとつが、滞在している客の名前をスタッフが頭に入れていること。部屋係だけでなく、プールスタッフ、レストランスタッフからも、名前で呼ばれたのには感心。でも、どうやって、私が何号室の誰だかを把握しているのか、ちょっと監視されているみたいな緊張感も覚えた。

細かなハード、ソフトの説明はガイドブック類にまかせるとして、エピソードをひとつ紹介したい。

滞在中、日本への帰国便の日程変更をフロントスタッフに頼んでおいた。あいにく希望便に空席が出ずに、チェックアウトの際に、当のスタッフから「力になれずにスイマセン」みたいなことを言われた。その話はそれで終わり、つかの間の世間話を続けた。チェックアウト後にバリ島の別エリアに移動することを話すと、親切にそちら方面のオススメ情報を教えてくれ、型通りの挨拶をしてホテルを後にした。

次に向かったホテルはビーチエリアの老舗リゾート。アマングループとは関係のないホテルだ。のんびり過ごしていたある日、部屋の電話が鳴った。かけてきた相手は、アマンダリのフロントスタッフ。私のチェックアウト後も、帰国便変更の件で2日間ほど航空会社に確認を続けていたそうだ。これにはびっくり。チェックアウトの際、次に泊まるホテルをきちんと伝えておいた記憶もなかっただけに、気配りの凄さに心底驚き、「アマンの魔力」が垣間見えた。

今回の写真は、アマンダリではなく、バリ島東海岸にあるアマンキラのプール。水平線に飛び込むようなデザインは、その後のリゾートプールに多大な影響を与えた。

アマンキラは、海辺の絶景を上手に取り込む設計上、階段がやたらと多く、この点は正直減点要因。アマンダリとアマンキラしか知らない私がアマングループの何たるかを語るのは、ちょっとおこがましいが、もっと富豪になって、世界のアマンを渡り歩きたいものだ。

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