2007年10月25日木曜日

なんとなくカニ


数年前からカニが妙に好きになった。面倒くさい食べ物という感覚を卒業したのは、カニを食べることだけを目的に行った北陸旅行。福井・三国で地物の越前ガニにウン万円も投じてみた結論は、「これを知ってしまったことは不幸だ」。

カニ食いのあとは手が臭くなるのが普通だと思っていたが、新鮮な上物にそんな心配は無用。個人的には、焼ガニが一番。あの甘みというかうまみは、他の何かと比べられない。また、生のまま食べるミソの味は、人生観が変わる。

官能の初体験のあとは、東京からの便を考えて、小松空港にほど近い石川県・橋立に冬の到来とともに出かける。同じズワイでも越前ガニほどのスーパーブランド化はしていないのも魅力。とある専門料理屋では、生のかにミソに白いご飯を入れて七輪の上で即席おじやを作ってくれる。ネギを入れて食べるアツアツのその味は、富豪級!。身を食べ終わった焼ガニの殻で、骨酒ならぬ殻酒も楽しめる。熱めに燗したコップ酒に殻をギュウギュウ詰めると、酒の色は、たちまち黄金色、いや富豪色!

ズワイが最高という感覚は、北陸方面や西日本の日本海側が主で、北海道では、ズワイの地位は低い。ロシア方面からの冷凍物が主役となるらしい北海道では、タラバや毛ガニが主役。

タラバ(正式にはザリガニの仲間。足の数も違う)は、やや大味で蒲鉾みたいに感じてしまう私としては、毛ガニに軍配をあげる。

北海道の飲食店では、値段に比例して味の善し悪しが決まるような気がする。一人で入った店で、一人で丸ごと毛ガニ一杯をむさぼっていると、他の客の視線がチョット痛い。

もともと、大勢でカニを食べに行くとみんな無口になって盛り上がらないのが普通だ。そう考えると「一人カニ食い」は実に正しい様式のように思える。

先月、札幌で、それまでは敬遠していた大型のカニ専門店に入ってみた。何となく、団体観光客相手のテキトーな店という悪しきイメージをもっていたが、とある店は、ほぼ全室個室ということを知り、覗いてみた。

一人でも個室という実に快適な環境確保に狙い通り成功し、わんさか食べた。大ぶりの毛ガニ姿ゆでのほか、カニ刺し盛り合わせ、焼タラバ、甲羅揚げ、ついでに酒のつまみに新モノのいくらや、珍味数品を頼んだ。

味は普通。ただ、味がどうこう言う前に、北海道という場所で、個室でひたすらカニというシチュエーションに満足してしまった。味覚など気分で大きく変わることを実感。

大バコのカニ専門店、あなどれず。

0 件のコメント: